4月から国家資格化の日本語教師、薄給と激務、非正規雇用、高齢化の実態 #生活危機
常勤で年収300万円という待遇の「壁」
経過措置の間は教師を続けるが、それ以降はもう辞めようと考えている人がけっこういるという。あらためて試験勉強をし、テストを受けて(しかも受験料を支払い)合格するのは年齢的にしんどい……というわけだ。 正規職がきわめて少ない業界でもある。 文化庁発表の2022年度のデータによれば、4万4030人の日本語教師のうち49%(2万1568人)が、日本語学校ではなく地域の日本語教室などで教えるボランティアだ。非常勤は36.1%(1万5891人)で、常勤はわずか14.9%(6571人)に過ぎない。主婦や、セカンドキャリアのシニア層が中心になって支えている業界なのだ。この人々が国家試験を受けるのかどうか、疑問に感じるという声も聞く。 一方で、若い世代は参入してこない。非常勤は年収100万~200万円、常勤ですら300万円前後ともいわれる待遇が大きな理由だ。20代の日本語教師は全体の5.4%(2380人)にとどまる。
山本さんは言う。 「日本語教師の数は、いっとき減ると思います」 しかし国の方針により、留学生は増える一方だ。卒業後にこの国で就職し、日本社会を支える労働力になってほしいとの期待からだ。結果、現場に負担がのしかかるのではという不安を、多くの日本語学校が感じている。
なぜ日本語教師は薄給・激務なのか
なぜ日本語教師は待遇が低いのか……そこには構造的な問題があるようだ。ユニタス日本語学校東京校の教務副主任、加須屋希さんは言う。 「日本語学校の収入は留学生の学費だけ。ですが途上国の学生が多く、学費を上げるのはなかなか難しいと思います」 留学生は国際情勢によって人数が大きく変わる。たとえば日中関係が悪化すれば中国人留学生は減る。東京電力福島第一原発の事故後は多くの留学生が国外に逃げ出した。コロナ禍の際は入国制限で留学生がまったく入国できない状態が続いた。 読めないのである。だから教師を常勤でたくさん雇用するわけにはいかず、ある種「調整弁」として非常勤を重用する風潮にもなってくる。