”真の世界最強”称号獲得へ…井上尚弥が覚悟の渡米「人々を熱狂させる試合をする」
名勝負となった昨年11月のWBSS決勝戦、ノニト・ドネア(フィリピン)戦以来、約1年ぶりの試合となる。だが、ブランクは感じない。むしろ、その試合で負った右目の眼窩底骨折のカバーに十分な時間があったことがプラスだ。 「(ブランクのプラス面の)いちばんはケガの回復。1年間、試合ができていないというストレスとか、そういう感覚はない。自分の中では1年ぶりの試合という感じはしない。感覚的には半年ぶりぐらいの試合の感じです」 自粛期間中に体が一回り大きくなったように感じたが、大橋ジムから送られてきた最終スパーリング写真の裸体を見る限り、いらない肉はそぎ落とされている。大橋会長も、先週の時点で「残り4キロ」と語っていた。減量の不安についても「ない」と歯切れがいい。 井上は、本来、試合前に、あまり対戦相手の映像を見るタイプではない。それより、神経を研ぎ澄まし、リングでグローブを合わせてからの数秒、数分で、相手の力を察知する能力に長けており、その感性を井上自身も大切にしている。だが、マロニーがレオナルド・バエス(メキシコ)を7回終了TKOで下した6月の試合の動画を珍しく見た。 「最新の試合を見ていなかったので、それを最近見て、また自信が深まりました。基本的にはロドリゲス戦をイメージしていろんなことを組み立てていたけれど、(バエス戦は)それとは少し違ったマロニーでした。でも、テンポなどがロドリゲス戦よりも少し遅いかなと思ったぐらいで、特別大きな発見はないですよ」 2年前に米フロリダでIBF世界同級王者だったエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に判定負けしたマロニーのWBSS1回戦の試合を目の前で見た。そこで植えついたイメージと時間経過と共に生まれるギャップを埋めるためのチェックだったが、勝利への確信が増すだけだった。 攻略方法についても「具体的には見えています、つかんでいます。言えないけれど(笑)。試合をお楽しみに」と笑う。