56歳、無趣味だった私が「大型バイク」と出会い、新しい友人たちと私の新しい世界を作り始めるまで
趣味を持ってキラキラしている友人が、ずっと長い間「うらやましかった」
たぶん、自分を変えたかったんだと思います。私は趣味と言う趣味もなく、週末は友達とほぼ毎週飲みに行くくらいしか過ごし方がなくて。でもいちばん仲のいい友達は趣味を持っていて、それがずっとうらやましかった。 彼女は私が介護の仕事してたときのひと回り年下のお友達。ビーチバレーを続けていて、強いチームに入って全国大会で優勝したり、いつも楽しそうなんです。趣味があってキラキラしてうらやましいな、私もなにか打ち込めるものがあればなとずっと思っていて。だから勇気を出して自動車学校に行きました。 実は、彼をびっくりさせようと思って、免許は内緒でとってバイクも内緒で買ったんです。ところが、彼とはそれが原因でぎくしゃくしてお別れしてしまいました。私は別れた彼と仲良しになるタイプなので今でも仲良しですが、ちょっと悪いことをしたなと思っています。 中型免許は、家の近くでいちばんきれいな自動車学校を探して、家から15分くらいのところで取りました。バイクはとっても重いんですが、まずは「倒れているバイクを起こしてみてください」という訓練から始まります。当然起こせなくて、普通は起こせなかったら入校すらできないのですが、どうしても免許を取りたいんですと何度も頼んでいたら「そのうち起こせるようになるからな」と入校させてもらえました。何回も何回も練習したら、本当にそのうち起こせるようになりました。 嬉しかったですよ! やった、起こせた! これでバイクで転んでも自分で起こせる! それまでは転んだら手伝ってもらっていたので、自分ひとりでできるようになった!と感慨もひとしおでした。そうですね、できるできないは別として、私はまずはなんでもひとりでやってみようとするタイプです。あきらめるのではなく、今できなくてもいつかできるから、やってみようって。 ですが、免許取得までは長い時間がかかりました。この学校へは仕事の都合で週に1回しか通えないうえ、人気のある学校でなかなか予約も取れず、夏休みに入れば今度は大学生が車の免許を取りにきて予約が埋まり、私は介護士として認知症の研修が必須になったり。プラス、私の体力と反射神経の劣化。なかなか段階を踏めず、補習の繰り返しで、普通2か月のところ4か月かかりました。いや、もっとかな、倍以上はかかっています。 バイクは自動車免許と違い、路上には出ずに校内を走ります。なかなか段階を上げられなかった私ですが、最後の卒業検定だけは一発合格でした。バイクは減点方式なので、大きなミスをしたらそこで検定終了です。実技を終えて特にミスがなかったので、とりあえず大丈夫かなと感じていましたが、その後合格と言われたときのあの天にも昇るような嬉しさ!! こんなに嬉しいのはいつぶりだろう、とにかく嬉しい。そうですね、子どもが大学や高校に受かったのと同じ、嬉しい気持ちと、よかったと安堵する気持ちがごちゃまぜになったような。