【特集】犯罪者の更生支援する若手社長が雇ったのは、4度服役した実の兄…弟への劣等感、社会への焦り、ぶつかり合う想い 「“この人の力になる”と決めたら、僕は徹底的にやる」再犯を防ぐため、必要なものとは―
■「もう生きるのしんどくなりました」一難去る前にまた一難…それでも更生支援に人生を懸ける社長の熱意と人情が、再犯の歯止めに―
(ラッパー) 「一人になりたい時は、海か、その辺の公園か…一人になりたい時は来ます」 ラッパーも、覚醒剤をやめることができています。
しかし―。 -(ラッパー/メッセージアプリで) -『社長すみません、もう生きるのちょっとしんどくなりました』 -(松本さん/メッセージアプリで) -『え?なんで?』 松本さんのもとに、ラッパーから死をほのめかすメッセージが届きました。
その後返信はなく、松本さんの家族や社員も総出で探し回ることに。すぐには見つからなかったものの、会社の寮に戻ると、料理をするラッパーの姿が…。 (松本さん) 「どこにおったん?」 (ラッパー) 「海のほう。…最初、社長の家に行くか迷ったんですけど」 (松本さん) 「俺ん家、来ようと思ったん?」 (ラッパー) 「日曜日に迷惑かなって」 (松本さん) 「あんまり曜日は関係ないと思うで。おまえも近付いて来ないとあかんし、俺ももっとおまえに近付かないとあかんと思うわ」 (ラッパー) 「次、同じようなことがあったら、社長に連絡取ります」 (松本さん) 「うん、良いんちゃう。それで良いと思う」
松本さんについて、ラッパーは…。 (ラッパー) 「親じゃないけど、親代わり。親に相談できないことも相談できるし。自分のせいで社長が悲しむような表情は、やっぱり見たくない」
(松本さん) 「布団で抱き合って寝ることはできないですけど、さすがに(笑)でも、『俺にできることが何かあったら言ってこい。俺が父親代わりやねんで』って言っていたら、あいつは悪いことしないと思います」
そんな弟の存在が、兄の再犯も防いでいます。龍昇さんが見せてくれたのは、幼い頃の兄弟の写真です。 (龍昇さん) 「僕と和也。小3と幼稚園ぐらい違いますかね。かわいい弟でしたよ。ドラゴンボールごっこ、いつもしていました」
松本さんは刑務所に足を運び、出所した受刑者が道を踏み外さないために、仕事を紹介する活動もしています。 (松本さん) 「現在、もがいている社員が一人いまして、その社員って誰やねんと言ったら、僕の実の兄なんです。実の兄が、刑務所4回目。兄弟だから、ぶつかり合うことが多いですけど、やっぱり最終的に『お兄ちゃんのために力になる』と決めて、これもやっているので。『こいつのために力になる』って決めた人に関しては、僕は徹底的に、自分のできることはやらせてもらいます。それは絶対、約束できます」
ある日曜日の早朝。『松本商会』の社員らが揃って、街のゴミ拾いをしていました。 Q.社長に『来い』って言われたんですか? (ラッパー) 「そうなんすよ、日曜日の朝早くから…へへっ(笑)」 再犯の歯止めになるもの―それは、“裏切りたくない人”の存在。彼らは、再び罪を犯していません。 (「かんさい情報ネットten.」2024年5月28日放送)
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