【特集】犯罪者の更生支援する若手社長が雇ったのは、4度服役した実の兄…弟への劣等感、社会への焦り、ぶつかり合う想い 「“この人の力になる”と決めたら、僕は徹底的にやる」再犯を防ぐため、必要なものとは―
そんな松本さんには、更生支援の原点となった人がいます。 (松本さん) 「内心、嫌でした。お兄ちゃんが覚醒剤中毒で、『おまえの兄貴なんかがシャブやめられるわけないやろ』って、周りからは全否定やったんで…」 松本さんの兄・龍昇(たつのぶ)さん(41)は、覚醒剤の使用などで、4度服役。3年前の2021年、鳥取県内の刑務所に兄を迎えに行くと…。 (松本さん) 「なんでか知らんけど兄が『広島に行きたい』と言ったので、鳥取から広島に移動しました。広島に着いたら、刑務所の中で出会ったというヤクザみたいな見た目のおっさんらが5人ぐらいいて、その人らから携帯電話を貰っていて、“今日から、おまえはもうこっちの一員や”的な雰囲気で。ヤクザのおっさんらに兄が連れていかれた時に、なんでかわからないけど涙が溢れ出てきて、『これで会えなくなるんや、俺には助けられへんやろうな』と思いながら…」
龍昇さんはその2週間後、再び覚醒剤で捕まり、大阪刑務所で服役。2023年11月に出所日を迎え、そんな兄を松本さんは車で迎えに行きました。
立ち寄ったのは、焼き肉屋。久々に兄弟揃っての食事です。 (松本さんの兄・龍昇さん) 「うわ!うまいわ!うまい、うまい、最高!」 (松本さんの妻) 「あはは、めっちゃ幸せそうな顔してますよ(笑)」 (龍昇さん) 「めっちゃうまいわ!」 (松本さん) 「……(笑)」
帰り道の車内で、龍昇さんは誰かと電話で話していました。 -(龍昇さん) -「龍昇や、松本や!おー、久々やなー!出たよ、今日出たよ。スピーディでしょ?“スピーディたつ”って呼んでください!もう、これから真面目っすよ。ちゃんと働きますわ」 (松本さん) 「……」 松本さんは、自分の下で働いてもらい再犯を防ぎたいと、兄を雇うことにしました。
いよいよ初出勤の日。松本さんが一から仕事を教えていきます。 (松本さん) 「携行缶は、絶対車に戻しておいてくれ」 (龍昇さん) 「けいこうかんって何や?」 (松本さん) 「これ…」 刑務所暮らしは、15年。41歳にして、まともに働くのは今日が初めてです。
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