【特集】犯罪者の更生支援する若手社長が雇ったのは、4度服役した実の兄…弟への劣等感、社会への焦り、ぶつかり合う想い 「“この人の力になる”と決めたら、僕は徹底的にやる」再犯を防ぐため、必要なものとは―
(松本さん) 「一枚一枚、ゆっくり。お手本見せるわ。ゆっくりで良いから」 それでも、龍昇さんなりに精一杯、与えられた仕事をこなしていきます。 (松本さん) 「形になってますわ。ちょっと、ぎこちないですけど(笑)」
■入社早々、他の社員とトラブルに…兄の言動のウラにあった劣等感と焦燥感 本当の家族だからこそ向き合うことの難しさ
問題が起きたのは、働き始めてすぐのことでした。“車の修理”や“リフォームの業者手配”など複数にわたる副業を始めた龍昇さんは、作業中にもかかわらず副業の電話を取り、注意した社員とトラブルになったのです。 移動中の車内で、話を切り出す松本さん。 (松本さん) 「おまえ、副業の電話や言うて」 (龍昇さん) 「おまえ、良いって言ったやん」 (松本さん) 「いやいや、状況が違うやん。マサキ(社員)に言われたんやろ、『作業中に副業の電話やめてください』って。『“和也に許可もらってる”って言われた』って、マサキにキレられたわ」 (龍昇さん) 「なんで?」 (松本さん) 「『なんで許可なんか出すんですか?作業中ですよ』って。自分が今与えられている仕事の最中に副業って…俺らからしたら関係ないやん。『後で折り返します』でいいやん」 (龍昇さん) 「あいつも喋りやな」 (松本さん) 「そりゃ何でも言うよ、俺には」
(龍昇さん) 「…刑務所から出て来て、いろんな奴を見て、周りには稼いでいる奴ばっかりで。俺もこうなりたいな、ああなりたいなと思って、今俺なりに動けることは動いているけど。まぁ俺も、3年以内に社長や」 (松本さん) 「何の社長になるん?」 (龍昇さん) 「わからん…」 社長である弟、かけ離れた自分―。焦りから来る言動は、社会では通用しませんでした。
(松本さん) 「兄を現場に一日入れて、お客さんから『松本くんのお兄ちゃんやから、こんなこと言いたくないけど、明日からお兄ちゃんは入れるのやめてくれ』というのは、ありました。ここもダメ、ここもダメとなったら、日替わりで元請けさんが替わるわけではないので、正直、連れていける現場がなくなってきて。お兄ちゃんに何て話したらいいのかなとか、結局その話も、まともにできていないんですけど…」 せめてもの救いは、兄が覚醒剤を絶っていること…。
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