【特集】犯罪者の更生支援する若手社長が雇ったのは、4度服役した実の兄…弟への劣等感、社会への焦り、ぶつかり合う想い 「“この人の力になる”と決めたら、僕は徹底的にやる」再犯を防ぐため、必要なものとは―
『職親(しょくしん)プロジェクト』にも参加する会社『松本商会』は、罪を犯した若者を積極的に雇い、更生を支援しています。社長・松本和也さん(37)は“社員は家族”という想いから、働く青年たちの衣食住からメンタル面までケア。時にはぶつかり合うこともありますが、社員たちも松本さんを「親代わり」「家族みたいな感じ」と頼りにしています。そんな松本さんの更生支援の原点は、覚醒剤で刑務所に出入りを繰り返していた兄の存在です。兄が出所し、自身の会社で雇うことにしましたが、待っていたのは、本当の家族だからこそ素直に向き合えないという苦悩の日々。そんな中、社員の一人から死をほのめかすメッセージが…。更生には、何が必要なのか?松本さんと“家族”の日々を追いました。 【動画で見る】弟が雇ったのは、4度服役した実の兄だったー社員の大半が元犯罪者 次なる犯罪を生まないために…更生支援を行う社長に密着
■「“すぐ行動に移せる男なんや”と感じました」皆から信頼が厚い社長の一日は、社員へのモーニングコールから!そんな中、覚醒剤で4度服役した兄が出所し…
朝6時半。社員へのモーニングコールが、松本さんの毎朝のルーティン。 (『松本商会』社長・松本和也さん) 「おはようございます。旦那さんは?寝てる?(笑)」 「おはよう。起きといてな、頼むわ…悩んどったん?でも来てくれんねやろ?うん、頼むで」
『松本商会』の仕事は、建物の外壁洗浄やハウスクリーニングなどの清掃業―“洗い屋”と呼ばれています。世間が元犯罪者を見る目は厳しく、少しのクレームも命取りに…。
元犯罪者に職を提供し更生支援を行う『職親プロジェクト』には、300を超える企業が参加していて、『松本商会』も2020年から元犯罪者たちを受け入れています。
松本さんが1000万円で購入した会社の寮では、社員たちが自ら料理し、みんなで食卓を囲みます。その中の一人、“ラッパー”こと橋下愛樹さん(22)は、過去に覚醒剤使用などで捕まり、少年院で松本さんに出会いました。
出院後、帰る家がないところに、松本さんからの電話が鳴ったといいます。 (“ラッパー”こと橋下愛樹さん) 「『家ないんやろ。明日から、どうするねん?』と言われて、『どうしようもないですね』と言ったら、『明日、嫁をそっちに行かすから、準備しとけよ』みたいな感じで…まさか、ほんまに来ると思ってなかったので、用意はしていたものの半信半疑だったというか。“すぐ行動に移せる男なんやな”というのは、そこで感じました」
【関連記事】
- 【松本さんの活動はここでも】大阪・ミナミの通称「グリ下」 若者が求める“居場所”とは… 困ったときに頼ることができる、自分らしくいられる場所は作れるのか【動画で見る】
- 【特集】「どうやったら犯人を殺せるか…それが夢でした」妹を殺害された社長の壮烈半生 辿り着いたのは“犯罪者の更生支援”という生き方 何度裏切られても「俺は絶対離さへん」
- 【特集】知られざる航空自衛隊『幹部候補生学校』に潜入 国を守るためには「結果が全て」という厳しい“指導”の日々…自堕落な生活からエリート自衛官を目指す青年の葛藤と成長に密着
- 【特集】「駐車スペースが足りない」“2024年問題”の裏で勃発する休憩所争奪戦!『働き方改革』で改善された社員の分は業務委託に…ドライバーに立ちはだかる“新たな壁”と“法の抜け穴”
- 【特集】海外でも人気!世界を魅了する日本の“おにぎり”…世はまさに『ONIGIRI戦国時代』!“米離れ”が進む中、国内外で専門店続々オープンのワケ