「ぎんざ 空也の奇跡のもなか。1日8000個売れる、美味しさの秘密
「ぎんざ 空也の奇跡のもなか。1日8000個売れる、美味しさの秘密
明治17年創業、昭和24年に銀座の並木通りに移店して半世紀以上にわたり愛されている「空也」。まるまるとした愛らしい瓢箪の形をした最中は、一口でほおばりたくなるほどの美味しさ。食べて幸せになるような絶品の餡と、香ばしくてたまらない最中の皮、そんな最高の最中を求めて、老若男女問わずひっきりなしにお客さんが買いに訪れます。今回は「空也」5代目の山口彦之さんに、最中の美味しさの秘密を教えていただき、そして最中の大事な部分である餡子の製造現場も見せていただきました。
空也もなか、1日の販売個数は8000個。無理しない働き方を目指して
お店があるのは東京メトロ銀座線・日比谷線・丸の内線「銀座駅」B5出口から徒歩3分程度の並木通りにあります。1日8000個ほど売れるという、最中は予約をしないと買えない日も多く、予約必をおすすめします。当日販売している日もありますが、連休やギフト需要が高まるタイミングは、もっと早く予約したいもの。この8000個という数は、餡子を焚き上げる5回分となっており、これは空也の従業員さんたちが無理なく働ける分量なんだとか。「売り切れるのに、もっと数を作ればいいのでは? 」と聞かれるそうですが、これは山口さんの働き方への想いや優しさを感じます。
創業からほとんど変わらない、空也もなかの価格。その裏側とは
価格は10個入りで、1100円。この銀座という地で、この価格で続けていく理由を伺うと……。山口さん「小麦を始め、色々なものの原材料費が上がっています。砂糖だって上がっていますね。こういった現状の中で、なぜ値上げをしないのかというと、一つはうちの会社が商売っ気がないんです(笑)。もう1つは最中というお菓子自体が、茶席のお菓子で使う方もいますが、どちらかというと庶民のおやつ。おやつは気軽に買えるべきと思っているのが大きな理由です。」
200年以上続く、もなかの皮の職人が焼き上げる「焦がし皮」の絶妙な食感
和菓子の世界では、生地の部分を中のあんにたいして“種”と表現するそう。その種に当たるのが、この最中の皮。この皮を専門で作る業者があるそうで「餅は餅屋、種は種屋」という言葉通り、裏路地で創業200年を超える「種屋」が作り続けています。それも今は「空也」の最中のためだけに作られているんだとか。最中というと、食べた時に上顎にひっつくこともあるものの、この最中の種はまったくくっつきません。焼くのに適した状態まで、水分が抜けるのを待って、その日の湿度、天気、あらゆる要因を見ながら職人が焼く最中の皮。ここで山口さんから、日ごとに変わる最中の美味しさの変化について興味深いお話を伺いました。山口「もちろん、販売当日のものはパリッとした食感が絶品です。3代目の話では餡をはさんで3~4日置いておくと、最中の皮と餡子がよく馴染んで、一体感が生まれてしっとりとした美味しさに変わります。そして賞味期限が1週間ですが、その1週間を過ぎたタイミングは餡が糖化してシャリッとした食感になって結構好きです。実際に経時変化を食べ比べて見て欲しいですね。」