「ご請求書」「ご落選」何気なく使っていませんか?<過剰な表現>や<必要以上に自分を良く見せる>盛りすぎ敬語はかえって失礼に…
◆「この子はブルーのおつくりもございます」アパレルショップにブルーのお刺身とは? ある店でピンクの服を手に取って見ていたら、店の人に声をかけられました。 「この子はブルーのおつくりもございます」アパレルでお刺身。 しかもブルーとは斬新!ファッション業界も多角化してきたね。 で、「この子」はどこの子……初めに聞いたときは、「お造り」だけにギョッとしました。 「この子」とは製品、この場合は服のことでしょう。 翻訳すると、「この服にはブルーの色違いもある」ということだと、3秒後に理解しました。 客に対して丁寧に言うなら「ブルーのお色違い」で十分です。なぜ「ブルーのおつくり」? 「つくる」という言葉を入れてクリエイティブな感じを出したいのでしょうか。
◆最終的に「不思議ワード化」してしまう敬語? それなら「お色違いでもおつくりしています」というごく普通の表現で通じます。 「おつくり」と名詞化したために、最終的に美化語のような謙譲語のような不思議ワードと化してしまったのです。 ちなみに「おつくり」は刺身の美化語としての「お造り」が確立しています。(「化粧」の美化語でもありますが、「お化粧」のほうが自然)。 「おつくりする」を無理やり名詞の謙譲語にしても、話が混乱するばかり。 百歩譲って業界内で使うのはよしとしても、接客用語としては首をかしげざるをえません。 「ブルーのおつくりもございます」をパッと意味が分かるようにするなら、「ブルーでもおつくりしています」「ブルーの色違いもございます」「ブルーのお品もございます」「ブルーの在庫もございます」など、言い方はいくらでもあります。 さて、原稿をここまで書いた私は、気分転換に近所へ買い物に行きました。 レジへ行くと、そこで「ポイントカードのおつくりはよろしかったですか」と聞かれたのです。 「おつくり」の勢力拡大ぶりにギョギョッとしたことは言うまでもありません。