「世界のホンダ」の基礎を作った初代「アコード」は、間違いなく日本が産んだ名車の1台だ
初期のCVCCエンジンはパワーやレスポンス面でやや物足りず、モッソリした感覚があった。しかし、アコードに積まれた頃には、かなり改良は進んでいた。 アコード 1.6ℓ CVCCの最高出力は82ps /5300rpm。、、だが、7000rpm辺りまでスムースに回ったし、パワーも大きくは落ちなかった、、。 高回転域までスムースに回るエンジンとスムースなタッチの4速MTは、アコードを気持ちよく走らせた。意識せずとも、リズムに乗った、滑らかで正確な運転に導いてくれた。 結果、スポーティな運転をも楽しませてくれたし、走り方によって、スポーツカーに乗っているような気分にさえさせてくれた。 ちなみに、CVCCエンジンの開発にあたった主要メンバーリストには、久米是志(3代目社長)、入交昭一郎(初代北米ホンダ社長)、川本信彦(4代目社長)、櫻井淑敏(ホンダF1チーム総監督)といった、錚々たるメンバーが名を連ねる。
僕もあれこれお世話になった方々ばかり。貴重な想い出、楽しい想い出がいっぱいある。 ステアリング、クラッチ、アクセル、エンジン、シフト等々、、、の調和もよかった。この辺りの躾は、開発者たちが、クルマの運転というものを、頭だけではなく、身体で五感でしっかり理解していた証拠だろう。 サスペンションはストラット式4輪独立懸架だったが、乗り心地は良く、ハンドリングのバランスもよかった。 スポーティであると同時に素直でもあり、どんな運転にも違和感なく追従してきた。 当時のFFにはまだ、癖のある運転しにくいクルマも少なからずあったが、アコード3ドア HBは実にいいバランスの持ち主だった。 4輪が路面をしっかり掴み、フロントの応答、リアの追従も素直。気持ちのいい運転が楽しめた。
当時のFF車は、追い込むと強いアンダー、追い込んだ状態からアクセルを戻すと強いタックイン現象が出るクルマが多かった。 とくにスポーツ走行領域に入ると、そんな傾向は一層強くなる。なので、ドライバーには、強いアンダーステアやタックインをうまく抑え込みながらアベレージを高める、、そんな運転テクニックが求められた。 とくにハイパワーのスポーツ系モデルにはその傾向が強く、少なからぬドライバーを困惑させたに違いない。 そんな類のFF車の代表としては、初代ミニクーパーSが挙げられる。ミニクーパーSを上手くコントロールし、速く走らせるには、かなりのテクニックが求められた。 でも、それはチャレンジしがいのあることであり、とても楽しいことでもあった。