【G7広島サミット】岸田首相が議長国会見(全文)※冒頭発言のみ
岸田文雄首相は21日午後、G7広島サミット閉幕後に平和記念公園で行った議長国会見で、サミットの成果を総括した。 【動画】岸田首相が議長国会見 3日間の日程が終了(2023年5月21日) ※岸田首相の冒頭発言のみ書き起こしています。 ◇ ◇
1945年夏、広島は原爆によって破壊された
岸田:先ほどG7広島サミットは全てのセッションを終了し、閉幕いたしました。G7首脳、8つの招待国の首脳と7つの国際機関の長、そして全ての参加者、関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。 今回の歴史的なサミットの成果について総括させていただきますが、その前に少しお時間を頂戴して、まず、ここ広島の地でサミットを開催した私の思いを述べさせていただきます。 1945年の夏、広島は原爆によって破壊されました。平和記念公園が位置するこの場所も一瞬で焦土と化したのです。その後、被爆者をはじめ広島の人々のたゆまぬ努力によって、広島がこのような美しい街として再建され、平和都市として生まれ変わることを誰が想像したでしょうか。 7年前の春、私は外務大臣としてここ広島でG7外相会合を開催しました。さらにその翌月には、米国のオバマ大統領を広島に迎え、激しい戦火を交えた日米両国が寛容と和解の精神のもと、広島の地から、核兵器のない世界への誓いを新たにしたのです。 平和記念公園を設計した丹下健三氏は、平和を作り出すとの願いを込め、原爆ドームから伸びる1本の軸線上に慰霊碑や平和記念資料館を配置しました。平和の願いを象徴するこの軸線は、まさに戦後の日本の歩みを貫く理念であり、国際社会が進むべき方向を示すものです。
広島の地ほどふさわしい場所はない
今、我々はロシアによるウクライナ侵略という国際秩序を揺るがす課題に直面しています。今のようなこの厳しい安全保障環境だからこそ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持し、平和と繁栄を守り抜く決意を世界に示す、それが本年のG7議長国である日本に課された使命と言えます。そのような決意を発信する上で、平和の誓いを象徴する広島の地ほどふさわしい場所はありません。 このような思いから今回、G7および招待国の首脳、国際機関の長に広島に集まっていただきました。そして今回、G7首脳と胸襟を開いて議論を行い、核兵器のない世界に向けて取り組んでいく決意を改めて共有し、G7として初めての核軍縮に焦点を当てた核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンを発出することができました。 この中で、77年間の核兵器不使用の重要性について一致するとともに、核戦争に勝者はなく、核戦争は決して戦ってはならないことを確認いたしました。被爆地を訪れ、被爆者の声を聞き、被爆の実相や平和を願う人々の思いに直接触れたG7首脳が、このような声明を発出することに歴史的な意義を感じます。 またけさ、招待国の首脳や国際機関の長ともここ広島記念公園を訪れ、平和の誓いを共有することができました。我々首脳は2つの責任を負っています。1つは、現下の厳しい安全保障環境のもと、国民の安全を守り抜くという厳然たる責任です。同時に、核兵器のない世界という理想を見失うことなく、それを追い求め続けるという崇高な責任です。将来の世代が核の恐怖におびえることなく、平和と繁栄を享受できるようにすること。これは我々の信念であり、責務です。 だからこそ、核兵器の使用が筆舌に尽くしがたい惨状を現にもたらしたこと。そして、核戦争が我々人類そのものを破壊しかねないものであることを被爆地広島から、我々の世代は訴え続けていかなければなりません。こうした悲惨な結末を何としても避けるため、核兵器のない世界という未来への道を着実に歩んでいく必要があります。 今日、こうして人類の生存を信じ、平和を希求し、広島に集う各国のリーダーたち、世界のメディア、明日を担う若者や子どもたち、そして先の大戦を知る皆さん。我々は皆、広島の市民です。世界80億の民が全員、そして広島の市民となったとき、この地球上から核兵器はなくなるでしょう。私はそれを信じています。