【G7広島サミット】岸田首相が議長国会見(全文)※冒頭発言のみ
成長と分配の好循環の推進に尽力
世界の諸課題の解決に向けた貢献は、常にG7の中核的な使命であり続けてきました。世界が複合的な危機に直面する今こそ、G7として様々な課題に直面する国際的なパートナーの声を聞き、彼らと連携しつつ、そうした課題にきめ細やかに対応していく決意です。 世界経済に目を向ければ、ロシアのウクライナ侵略が長期化する中、インフレ圧力、食料、エネルギー不安をはじめ、深刻な困難が存在しています。G7として世界経済を力強く牽引し、持続的な成長の実現のための取り組みを主導することを確認しました。持続的な経済成長のためには、供給サイドに働きかけ、民間投資を喚起する取り組みの促進が重要であるとの考えをG7として議論する中で、私からは、日本が掲げる新しい資本主義について触れ、官民連携のもと、人への投資や社会課題の解決などを通じ、成長と分配の好循環の推進に尽力していることを説明しました。 また、今回G7サミットでは初めて経済的強靱性、経済安全保障を独立したセッションで扱いました。多角的貿易体制の重要性は変わらない一方で、グローバルサウスを含む国際社会全体の経済的強靱性と経済安全保障を強化していくことも必要です。 そのために、G7としてサプライチェーンや基幹インフラの強靱化、経済的威圧に関するプラットフォームの立ち上げなど取り組みを強化し、また世界全体のクリーンエネルギー経済への移行をリードしていきます。 今回のサミットは7年ぶりにアジア唯一のG7メンバーである日本で開催されたこともあり、インド太平洋についてもしっかり議論を行いました。私からは、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)のための新たなプランを説明し、引き続きG7としてFOIPの実現のために協力していくことで一致をしました。
力や威圧による一方的な現状変更の試みへの反対で一致
中国については、率直な対話を行って懸念を直接伝える重要性や、グローバルな課題等について協働する必要性について一致するとともに、中国は国際社会において責任ある一員として行動すべきこと、そして、対話を通じて中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意があることなどについて、G7で認識を共有しました。東シナ海、南シナ海情勢については深刻な懸念を表明し、力や威圧による一方的な現状変更の試みへの反対で一致をしました。また、台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認し、両岸問題の平和的解決を促しました。 北朝鮮については核ミサイル問題や拉致問題について引き続き連携していくことを確認し、G7として拉致問題の即時解決を強く求めました。 本日、広島サミットは閉幕となりますが、日本のG7議長年は続きます。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜く、そして国際的なパートナーとの関与を強化する、こうした観点からG7の議論を主導し、議長年の務めをしっかりと果たしていきます。 G20・ニューデリーサミットやSDGsサミット、日ASEAN特別首脳会議など、グローバルサウスを含む国際的なパートナーと連携する機会も続きます。こうした機会に、ここ広島での充実した議論を引き継ぎ、様々な課題をともに解決すべく、これらの国々との連携の強化を主導していきます。 最後になりますが、3日間にわたるサミット開催にご協力をいただきました広島の皆さんと関係各位に心から感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。 (完)【書き起こし】岸田首相が議長国会見