【問題】信号待ちのトラックと小型車。青になって「小型車が先に発進したのはなぜか」わかりますか?……エンジンの性能は関係ありません
慣性質量の「役割」
結局、次のようなことが言えます。 〈慣性質量の大きな物体ほど加速しにくく、慣性質量の小さな物体ほど加速しやすい(加速は減速も含むことをお忘れなく!)〉 前回の記事と同様に、大型トラックを例に考えてみましょう。このようなトラックの慣性質量は大きいので、加速しようとしてもなかなか速度は上がりません。 一方、減速しようとしてもなかなかスピードが落ちないので、止まるのに時間がかかります。 対照的に、慣性質量が小さい小型の乗用車では、これとまったく逆の現象が生じます。つまり、加速も減速もしやすいのです。 これが、【問題】の答えです。つまり、信号が青になったとき、小型車のほうが(慣性質量の大きい)トラックより先に発進できる理由です。 このことから、慣性質量について、再定義することができます。すなわち、物体の慣性質量とは、その物体の「加速/減速のしやすさ(あるいはしにくさ)」なのです。 重力のからくり――相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか 自然界を支配する4つの力の中で、最も身近で最弱の力。 この宇宙に現在の構造をもたらした最大の貢献者でありながら、なぜか「標準模型」に含まれない異端児=「重力」。 素朴な問いから「物理学最大の難問」まで一気読みさせる好著!好評のからくりシリーズ その他の既刊光と電気のからくり詳しい内容はこちら量子力学のからくり詳しい内容はこちら真空のからくり詳しい内容はこちら時空のからくり詳しい内容はこちらE=mc²のからくり詳しい内容はこちら
山田 克哉