【問題】信号待ちのトラックと小型車。青になって「小型車が先に発進したのはなぜか」わかりますか?……エンジンの性能は関係ありません
減速と加速の関係
ところで、加速の反対は「減速」です。 すでに走っている物体に、運動方向とは逆向きの力を加えつづけると、その物体は減速され、徐々に運動速度を下げていきます。やがて止まってしまいますが、停止後も逆向きの力がそのまま加えつづけられれば、こんどは逆方向に加速されることになります。 面白いことに、物理学では減速も加速のうちに含めています。「減速=マイナスの加速」です。 減速に関しても、「力なくして減速あらず!」が成り立ちます。そこで、減速を含めて加速という現象を定義すると、次のようになります。 〈加速とは「速度変化」のことである〉 整理しておきましょう。
物体を動かす「唯一の方法」
「静止している物体」を動かすには、その物体を押すか/引くかが必要です。 「押す」も「引く」も力ですから、静止している物体を動かすには、その物体に力を加える必要があり、また、それ以外に物体を動かす方法は存在しません! そして、物体に対する力の効果は「加速」として現れます。 静止している物体に力を加えると、物体は加速されて動き出します。静止している状態の速度はゼロです。速度ゼロの静止状態から動き出すと、物体はある速度を得ます。速度ゼロからある速度へと、速度変化が生じます。 速度変化は加速です。加速の原因は力です。静止している物体を動かすためには、その物体に力を加えなければならないのです。
物体は加速を嫌う!
すべての物体は、その慣性のために永久に同じ速度を保とうとし、等速直線運動を最も好みます。 逆にいえば、物体は速度変化を嫌います。いかなる物体も、慣性という性質=欲望をもっているがゆえに、速度を変化したくないのです。 そして、速度変化とは加速のことなので、物体は加速を嫌います。あらゆる物体は、加速したくもされたくもないのです。 したがって、物体は加速に対して抵抗します。その際、慣性質量がものを言います。 もうおわかりのように、慣性質量が大きい物体ほど、加速に対する抵抗も大きいのです。反対に、慣性質量が小さい物体ほど、加速に対する抵抗は小さくなります。 そして、加速の原因は「力」ですから、物体は加えられた力に対して抵抗します。力に対する抵抗具合もまた、物体の慣性質量の大小によって変化します。もちろん、慣性質量の大きな物体ほど、加えられた力に対して大きく抵抗します。