【22年以来のJ1参戦。清水エスパルスはエレベータークラブから脱せられるか?(1)】J2では68得点・38得点と攻守のバランスの取れたチームは作ったが…。求められるさらなる個のレベルアップ
2024年のJ2で真っ先にJ1復帰を決めて優勝したのは清水エスパルスだった。秋葉忠宏監督体制2年目だった24年はシーズン序盤から勝ち星を重ね、基本的に自動昇格圏の2位以内をキープ。最終的には勝ち点82を稼ぎ、トップ通過を果たしたのである。 ■【画像】「めっちゃシンプル!」J1昇格の清水エスパルスが来季着用の「新ユニフォームデザイン」■ 「今年(24年)は自分が頭から監督をやっているから大丈夫。フィジカル面でもテコ入れを図り、厳しい状況でも戦い抜けるタフな集団を作ってきた」と指揮官も口癖のように語っていた。5~6月にかけて苦境に陥った時期もあったが、最終的には他クラブをしのぐ分厚い選手層で走り抜けたと言っていいだろう。 そんな清水を改めて総括すると、総得点68、総失点38。総得点はV・ファーレン長崎に次ぐ2位、総失点はリーグ4番目の少なさで、秋葉監督はどちらもバランスの取れた状態に仕上げたと言っていい。 得点力に関しては、シーズン12ゴールをマークしたキャプテン・北川航也の存在が非常に大きかった。 「昨年(23年)まではチアゴ・サンタナ(浦和)がいて、自分は2列目で出たりしていたけど、今年(24年)は僕が1トップに入る形になり、『自分がやらなければいけない』という気持ちが強くなった」と言うように、強い自覚が結果に結びついた。 もともと同世代の南野拓実(モナコ)、オナイウ阿道(トゥールーズ)ともに将来の日本サッカー界を担う逸材と目された男だけに、ポテンシャルを考えればこのくらいの数字を残すのはある意味、当然かもしれない。
■反町康治氏が求める人材
問題は3年ぶりに参戦する今季J1での出来だ。彼は2018年に13ゴールをマークし、森保一監督率いる日本代表にも抜擢された経験があるが、25年は当時を超える数字を残すことが強く求められる。というのも、今季の清水は北川に匹敵する得点源が不在だったからだ。 彼に続くのは、8点のルーカス・ブラガ、6点の矢島慎也、5点のカルリーニョス・ジュニオと乾貴士という状況。だが、ルーカス・ブラガはすでに退団が発表され、他の3人はいずれも30代とフル稼働が難しくなる年齢だ。 目玉補強としてセレッソ大阪からカピシャーバを獲得したものの、彼も点取屋タイプではない。ブルガリア1部・スパルタク・ファルナのアフメド・アフメドフが加入するという報道もあるが、その選手も未知数な存在。”北川依存”にならないとも限らないだけに、全体的な底上げが必要不可欠と言える。 今年5月から故郷のクラブに赴いた反町康治・日本サッカー協会(JFA)前技術委員長は「エスパルスの選手はもともと基本技術が高く、うまい選手が沢山いるが、ハードワークできる人材が少ない。今のサッカー選手は『うまくて、速くて、走れて、しっかりプレーできる選手』がもっと必要」と語っていた。FW陣含めてハードワークを厭わない集団に仕上げていくことが肝要だ。 実際、J1になれば守備の負担が増えるのは間違いない。前線からアグレッシブにプレスに行けてボールを追える前田大然(セルティック)のような選手が多ければ、いい戦いができそうだが、果たして来季の清水はどうなのか。アタッカー陣の献身性と決定力は来季躍進の重要ポイントになりそうだ。
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