脳腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、大腸がん、肺がんを乗り越えたIT社長…闘病と体力回復のリアル
40歳で最初のがんになり、53歳の現在までに脳腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、大腸がん、肺がんを乗り越えた高山知朗さん。30歳で起業し「会社=自分」だったIT社長が、闘病を経て、会社売却を決断するに至るまで、どう“人生の方向転換”を果たしたのかを語る。『5度のがんを生き延びる技術 がん闘病はメンタルが9割』より一部を抜粋して掲載します。
急性骨髄性白血病が見つかる
2017年2月下旬、いつものように、虎の門病院血液内科で血液検査を受けました。悪性リンパ腫の再発チェックのため、2か月に1回のペースで検査を受けていたのです。 2013年に患った悪性リンパ腫の治療から約4年が経過していました。 その間、定期的に受けている検査で異常が見つかったことはなく、主治医のGY先生の診察は「問題ないですね」とすんなり終わるのが当たり前になっていました。 しかし、この日は違いました。 血液検査の結果に異常が見つかったのです。 先生によると、白血球や赤血球や血小板などの血球の数がいつもより少なく、特に好中球(白血球の一種)の数が非常に減っているといいます。 一瞬、再発が頭をよぎりましたが、再発であれば血球以外の数値にも影響が出ることが多いという説明を伺い、まずは安心しました。 多くのがん患者にとって、一番怖いのは再発が見つかることです。ですから、先生から再発ではなさそうだと聞いてホッとしました。ちょっとした異常に過ぎないに違いありません。 それでも詳しく調べるために、骨髄検査を受けることになりました。 骨髄検査はマルクとも呼ばれ、白血病や悪性リンパ腫の患者の間では痛いことで悪名高い検査です。注射針をお尻に近い背中から腸骨(骨盤を構成する骨)に刺して、骨髄液を吸引します。 注射針が骨を貫通するときのググッという鈍い衝撃、骨髄が吸引されるときのキューッとした不快感。 最初に受けたとき、噂で言われているほどには痛くないなと思ったものの、あの独特の不快感は忘れられません。 検査の結果は次回の診察で聞くことになりました。