ウチの子は賢いに決まってる…世帯年収1,000万円・都内湾岸タワマン暮らしの40代夫婦「愛するわが子のため」が招いた大惨事【FPが解説】
首都圏模試センターの調査によると、2024年の私立・国立受験者数は5万2,400名となっています。前年に比べて微減しているものの、受験者数は年々増加。少子化傾向にもかかわらず、中学受験は加熱する一方です。しかし、「親の過度な期待」は時として子どもに深刻な悪影響を与えてしまうケースも……とある家族の事例をみていきましょう。2人の子どもを私立中学に通わせる石川亜希子AFPが解説します。 東京23区「私立中学進学率」ランキング1~23位
「男尊女卑」のせいで地元から出られず…苦しい環境で育ったAさんの「転機」
専業主婦のAさん(44歳)は、夫のBさん(47歳)、ひとり娘のCちゃん(12歳)と、都内湾岸部にあるタワーマンションに暮らしています。Bさんの月の手取り額は約50万円で、ボーナスや手当などをあわせた年収は約1,000万円。自宅の住宅ローンを返済しながらも、適度にゆとりのある生活を送れている……はずでした。 Aさんは地方出身で、その土地は男尊女卑の傾向が強く残っていました。そのため、進学先も当然のように弟が優遇され、弟は東京の大学へ、Aさんは実家に近い大学へ通うことに。卒業後も、親の勧めで地元に就職しました。 「成績はわたしのほうが断然よかったのに。悔しい、ずるい」そう思いつつも、一生田舎で暮らすことになるのだと思っていました。 転機となったのは、社会人5年目のときです。勤務先に出向してきたBさんと懇意になったAさんは、そのまま結婚。3人家族となって間もなく、Bさんが東京の本社に戻ることになったのです。「東京に行ける! これで人生のリベンジができる!」Aさんは期待に胸を膨らませました。 Aさんにとって“人生のリベンジ”とは、娘を完璧に育てることでした。 「私が悔しい思いをした分、娘にはいい大学に入ってほしい」 そんな思いもあって、AさんはCちゃんにあらゆる手を尽くしました。 Cちゃんは、幼少時から利発な少女でした。ママ友に「Cちゃんは優秀で羨ましい」「さすがCちゃん」と言われるたびに「そんなことないわ」と謙遜しますが、心の中では「夫も高学歴だし、私が育てているのだから、ウチの子は賢いに決まってる」と思っていました。 小学校低学年になると、ピアノ、水泳、英語に加えて、大手受験塾や有名算数塾にも通わせました。遊ぶ隙間などなく、毎日パンパンにスケジュールが埋まっています。