OKI、ディープラーニングを用いた「船舶分類AIシステム技術」を開発 海中音を学習して船舶を分類
沖電気工業株式会社(以下、OKI)は19日、ディープラーニング(深層学習)によって海中音を学習させ、船舶の種類を自動で分類できる「船舶分類AIシステム技術」を開発したと発表した。これにより、船舶の出入りが多い港湾や、カメラでは捉えにくい夜間などにおいて、海中音から常時自動で船舶分類を取得可能になるという。 海中では、音を発する生物・船舶によらず、海中の音源は種類に固有の特徴があり、音を使ってその種類を特定することができる。その方法としては、水中マイクで受波した海中音を人が聞き、その音の特徴である周波数を可視化したものを人の目で判断・分類する手法が多く用いられているが、この方法では、人の熟練度により分類判断に差異が生じることがあったとのこと。 今回開発した「船舶分類AIシステム技術」は、こうした課題を解決するための技術で、海中に設置した水中マイクで記録した音からディープラーニングモデルを作成し、その周波数の特徴から自動的に船舶を分類できる。これにより、水中音を確認する人の熟練度に依存せず、船舶を分類できるほか、従来よりも人の労力を減らせるので、省人化にも対応するとした。 ただし、ディープラーニングモデルを用いて音の種類を正確に識別するには、通常、大量の学習データが必要となる。また公開された海中音のデータは限定的であり、特にさまざまな船舶音の情報を事前に用意するには、時間やコストがかかる課題があった。そこで、実際の船舶音データに対してデータのバリエーションを人為的に作成する「データ拡張」と、一部のデータのみの船舶音情報で学習させる「半教師あり学習」を利用し、少量の学習データであっても分類ができる工夫を実施して、課題を解決させたという。 なおOKIでは、同技術について、同社が保有する船舶音データを利用して検証を実施した。約4時間の船舶音データで調整したディープラーニングモデルを使用したところ、90%以上の精度で分類できたとのこと。 OKIは今後は、共創パートナーを募り、本技術の商品化に向けたフィールドデータの取得を行って、実践的な検証を進めるとしている。
クラウド Watch,石井 一志