2030年代に起こる海溝型巨大地震

東日本大震災、地震後の仙台市内　photo by gettyimages

海溝型地震は直下型地震と比べると、ある程度は規則正しく起こってきた履歴が残っている。つまり、数十年から100年に1回くらいの周期性をもって発生しているため、次にいつ起こるかという予測も、ある程度は立てやすい。実際に、東海地震と南海・東南海地震では、過去の履歴がくわしく調べられ、将来起こる時期とその確率が国から発表されている。 たとえば、東海地方から近畿・四国地方にかけての今後の海溝型地震発生の可能性(2019年時点での今後30年以内の発生確率)は、東南海地震が70パーセント、南海地震が70~80パーセントと予測されている。 これらの地震は静岡・名古屋・大阪といった太平洋側の都市に激しい揺れをもたらすだけでなく、沿岸部を襲う大津波によっても大きな被害をもたらすものだ。 ただ、地震の発生時期について、このように発生確率を示されてもわかりにくいと思われる方も多いと思う。そこで私は、「西暦2030年代には発生する」という言い方で警鐘を鳴らしてきた(拙著『西日本大震災に備えよ』PHP新書を参照)。 すなわち中央値の2030年前後5年間に起きると予測しているのだが、いずれにせよ2040年頃までにマグニチュード9クラスの巨大地震がこの海域で発生する可能性が非常に高い。そしてそれは、すでに新聞やテレビで盛んに報道されている通り、東海地震・東南海地震・南海地震の三つが同時発生する超巨大地震、いわゆる「南海トラフ巨大地震」となる可能性がきわめて高いのである。 南海トラフ巨大地震で予測されている被害の大きさは、「3・11」の比ではない。日本列島に住むすべての人々の生命と安全を脅かし、いまこのときも日本人の将来設計に影響を及ぼす甚大災害といっても過言ではないだろう。 さらに連載記事<いま「富士山」が噴火したら…その「ヤバすぎる威力」と「凄まじい影響範囲」>では、南海トラフと連動して起こる可能性が高い富士山噴火の危険性について解説する。 ◇ 3・11東日本大震災は、列島各地の活火山の活動が活発化するという影響ももたらしました。なぜ？　そのメカニズムは？　今後20～30年の間に起こりうる大地震と火山、ことに富士山との関係について、『富士山噴火と南海トラフ』で詳しく解説しています。来るべき未曾有の災害に備えるために、今一度本書でご確認になってみてください。 富士山噴火と南海トラフ――海が揺さぶる陸のマグマ