日本列島で起きる2タイプの地震

日本列島の地下構造と地震の発生場所(筆者作図)

東日本大震災のあとの日本列島では、震源域とはまったく関係のない陸域で、比較的規模の大きな地震が発生するようになった。翌日の3月12日には、長野県でM6.7の地震、いわゆる長野県北部地震が起きた。この地震は震度6強を記録し、東北から関西にかけての広い範囲に大きな揺れをもたらした。 これは典型的な内陸性の「直下型地震」だった。直下型地震では地面の下の浅いところで断層が動いて地震が起きるため、地表では大きな揺れが襲ってくる。たとえば、1995年の阪神・淡路大震災(兵庫南部地震)も直下型地震であり、このときも突然の大きな揺れに襲われたため逃げる時間がほとんどなく、建物が倒壊して数多くの犠牲者が出た。 ここで、日本列島で起きる2つのタイプの地震について、それぞれの特徴をおさえておこう。 第一のタイプは、いま述べた長野県北部地震や阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)、また、近年に発生した熊本地震や北海道胆振東部地震のように、内陸で起きる直下型地震(内陸型地震ともいう)である。これらは主に、地下の活断層が繰り返し動くことで発生する、マグニチュード7クラスの地震である。 もう1つのタイプは、海底で起きる地震である。これはプレートとプレートの境にある深くえぐれた海溝で起きるので海溝型地震と呼ばれる。 東日本大震災を起こした2011年東北地方太平洋沖地震はその典型だが、過去にも日本では、フィリピン海プレートの沈み込みによって東海地方から首都圏までを襲う東海地震や、中部関東から近畿四国にかけての広大な地域を襲う東南海地震、そして南海地震など、このタイプの地震が繰り返し起きている。 これらがいわゆる南海トラフ地震であり、内陸の地震に比べると解放されるエネルギーは数十倍にもなり、マグニチュード8クラスの巨大地震となる。しかも海溝型地震には、沿岸地域に大きな津波をもたらすという厄介なおまけまでついてくる。実際、1944年の東南海地震と1946年の南海地震では、津波によってそれぞれ1000人を超す犠牲者が出た。