「3・11」を遥かに超える「衝撃的すぎる被害規模」…「南海トラフ巨大地震は2030年代に起きる」専門家が本気で警鐘
なぜ「直下型地震」が多発するようになったのか
さて、このように発生のメカニズムがまったく違うのだから、2011年3月11日に東北地方で起きた海溝型地震と、翌日に長野で起きた直下型地震(長野県北部地震)とは一見、無関係のように思えるが、実はそうではないのである。 「3・11」は、東日本を載せている北米プレート上の地盤を変えてしまった。実際、地震後に日本列島は最大5.3メートルも太平洋側に移動した(図「東日本大震災の発生前後の地盤の動き」)。さらに、太平洋岸では地盤が最大1.6メートルも沈降したことが観測された。 この現象は、日本列島が東北地方から関東地方にかけての太平洋側で、東西に少し広がり、また、一部の地域が沈降したことを意味する(図の下)。これは海溝型の巨大地震が起きたあとによく見られる現象でもある。
東西に引っ張られている東日本
その結果、現在の日本列島の東半分は、東西に引っ張られる力がたえず加えられている状態にある。この力が、あるとき岩盤の弱い部分を破壊して、断層が生じる。こうした断層には正断層、逆断層、横ずれ断層などがあるが、互いに引っ張られることで生じる断層を正断層という(図「「正断層」「逆断層」のできかた」)。 「3・11」より前には、東西から押されるような力が日本列島全体に加わっていた。その結果、東北地方には逆断層が多くできていた。ところが「3・11」以後は反対に引っ張られる力へと変化したために、正断層ができるようになった。このように、加わる力の向きが正反対に変わってしまい、逆断層型から正断層型へと変化したために、「3・11」以降に直下型地震が多発するようになったのである。 非常に困ったことに、こうした正断層がどこで起きるのかを予測するのは非常に難しい。ある日突然、活断層がある地域の岩盤の弱い部分が割れる、ということしか言えないのだ。「3・11」以降、日本ではこれまで地震が起きなかった地域でも地震が起きるようになったが、今後30年くらいは、いつ直下型地震が起きてもおかしくないと考えたほうがよいだろう。