「パジャマに見えないだろうか?」という不安も…それでもファミマのスウェット2990円を着倒せる理由
「パジャマに見えないだろうか?」
――ただ、こういうシンプルなスウェットを着て出かけると、歳も歳だし、ちょっと不安になるんです……。 澤村 その気持ち、わかります。「パジャマに見えないだろうか?」って不安を感じるときはあります。スウェットって、「外出用」と「家着」の2種類があるんですよ。ただ、よく考えてみると、その線引きって、先入観に基づいたふわっとしたものなんです。ブランドのロゴや1~2万円以上という高価なプライス、希少性が高いという要素があれば、なんとなく外出用っぽくて、安心感が得られる、くらいの。 ――たしかに外出用のスウェットには、説得力が欲しいところです。 澤村 このスウェットが家着に見えないポイントは、ヘビーウェイトなUSAコットンの存在感とゆったりとしたシルエットにあると思います。ロゴや値段で安心感を狙わず、あくまで素材やデザインで外出着としての説得力を獲得している気がするんです。私も家着に見えないかどうかは気にする方ですが、このスウェットは会社にも臆せず着て行くことができました。 ――実用性も高そうです。 澤村 生地の厚みもちょうどよくて、春や秋はTシャツの上に着て、冬は重ね着しても着ぶくれしません。でも、何より気に入ったのは、アレコレ考えず、毎日着られるという点です。スティーブ・ジョブズは、生前、毎日のように黒のタートルネックとリーバイスのブルージーンズという服装でした。なんでもそれは「今日は何を着るか」という選択にエネルギーを使いたくなかったからだといいます。このスウェットも、シンプルで、かつ品質もしっかりしているから、着こなしをアレコレ考えずに着ることができます。それにロゴや目立つディテールなども無いから、「毎日同じ服を着ている」と思われにくいと思います(笑)。 ――これで2990円はお得といえますか? 澤村 値段以上の価値があると思います。素材もデザインも、これまでのコンビニのウェアの枠を超えたレベルにあると思います。物価の高騰とともに、洋服の値段もどんどん高くなっています。にもかかわらず、歳を重ねるにつれ、洋服にかけられるお金もどんどん限られてきます。だからこそ、私は目利きになりたい。世の中を探せば、このスウェットのように、安くても、生活を豊かにしてくれるカッコいい服はたくさんありますから。ただ、これほど使える服がファミマで買えるなんて、まさに灯台下暗し。運よく見つけたら、もう一枚買っちゃうと思います。 ◆ さわむら・ひさのり/静岡県出身。大学卒業後、雑誌や書籍など、さまざまな紙媒体の編集・立ち上げに携わったのち、ITベンチャー企業が運営するオウンドメディアの編集長に就任。現在は徳間書店の月刊誌『GoodsPress』のWebメディアである『&GP』の編集長を務める。
押条 良太