「パジャマに見えないだろうか?」という不安も…それでもファミマのスウェット2990円を着倒せる理由
こだわりの生地とディテールの数々
――ファーストインプレッションはどうでしたか? 澤村 パッケージを開けて、一見したところ、なんの変哲もないフツーのスウェットでした。ただ、着続けているうちに、徐々にこのスウェットのすごさがわかってきました。 ――一番のお気に入りポイントは生地の質感だとか? 澤村 アメリカ産コットンならではのザラッとした風合いにやられました。UNIQLOのスウェットも好きなんですが、生地の風合いがけっこうツルっとしているんですよね。それはそれで上品に見えていいんです。ただ、こういうハリコシがあって、ザラつきのある風合いは、アメリカのスウェットっぽくて、アメカジ好きの心をくすぐるんです。 ――着心地はどうですか? 澤村 裏地はいわゆる裏毛になっています。裏側がタオル生地のようなループで覆われていて、このループが心地いいドライタッチを生み出しつつ、保温性を高めます。コットン100%の裏毛は吸水性も高いので、ムレにくいのもうれしい。 ――長持ちするかどうかも気になるところです。 澤村 ネックと袖のリブ素材は、コットンにポリウレタンが5%ミックスされた素材でできていて、ソフトな締め付けが心地いい。リブ素材は洗濯を繰り返すほどに、だんだんヨレてきますが、このヨレ具合がヴィンテージのスウェットっぽくていいんです。身頃のスウェット生地も着込むほどに徐々に目が詰まって、味が出てきます。 ――よく見ると、身頃部分の生地は横向きになっていますね。 澤村 このスウェットの最大の特徴のひとつです。コットン100%のスウェットって洗濯を繰り返しているうちに、縦にギュッと縮んでしまい、サイズがひと回り小さくなってしまうこともしばしば。ですが、身頃部分の生地が横向きだと、縦の縮みを抑えることができるんです。アメリカの某スウェットブランドでおなじみの製法です。ただ、長持ちはするものの、手間がかかる製法なので、この価格帯のスウェットでは、ほとんど見かけません。 ――シルエットはどうですか? 澤村 パリコレにも参加するデザイナーが手がけるものだけあって、現代の空気感が漂います。肩が若干落ちるドロップショルダーで、身幅もやや広め。でもってアーム幅もゆったりしています。今っぽく着るなら、ワンサイズ上を選ぶのもありでしょう。 ――デザインはとにかくシンプルですね。 澤村 今どきの若い世代は、ブランドを主張するウェアを好まない傾向にあるようです。ただ、そういうファッションの流れがあるにしても、このスウェットは、ストイックなまでにシンプルです。ネックの裏側のタグまで省略されていて、ぱっと見では、どのブランドなのかわかりません。