【夏の甲子園、開幕!】昨年の優勝校・慶應高校野球部の組織論から、中間管理職はじめビジネスパーソンが学べることとは?
8月7日から開幕する、夏の甲子園。聖地・甲子園球場が、開場から100周年を迎える記念すべき大会ともなる。ちょうど1年前の甲子園で107年ぶりの優勝を果たし、社会現象にもなったのが慶應高校野球部だ。強豪ひしめく神奈川大会で敗れ、残念ながら今大会の出場は逃したものの、その組織論、教育論を掘り下げた『慶應高校野球部「まかせる力」が人を育てる』(新潮新書)が、いまビジネスパーソンや子育て中の読者にも話題となっている。今回、書籍の内容や取材時の印象的な言葉にも触れながら、著者の加藤弘士氏に特別寄稿をいただいた。 【画像】『慶應高校野球部「まかせる力」が人を育てる』の著者・加藤弘士氏
今年も熱い夏がやってくる。甲子園大会の季節である。全国各地の地方大会を勝ち上がった49代表校が「聖地」に集い、日本一の栄冠を目指して熱戦を繰り広げる。 私はスポーツ報知のアマチュア野球キャップとしてこの夏、4季連続22度目の甲子園取材を行うことになった。大会期間中は開幕戦から決勝までの17日間、甲子園のネット裏記者席で過ごす。尋常ならざる酷暑は50歳の肉体には堪えるが、奮闘する選手たちや指導者の方々のチームを想う気持ちに触れるたび、全身を覆っていたはずの疲れは吹っ飛び、筆は躍る。 2023年の夏もそうだった。 その年の1月から取材を重ねてきた慶應高校野球部。彼らの快進撃に心を奪われた。「高校野球の常識を覆す」と意気込んだ若者たちは、ピンチでもいい表情で大舞台での戦いを心底楽しみ、勢いのままに頂点へと上り詰めた。 なぜナインは重圧に負けることなく、快活な表情で躍動できるのだろうか。ベンチ入りを逃し、アルプス席でメガホンを叩く部員たちは、なぜそれほどまでに大きな声でレギュラー陣に声援を送れるのだろうか。 「サラサラヘア」や「卒業生の熱烈な応援」が主な話題を集める中、強さの本質に迫りたいと関係者21人に計33時間のインタビューを行い、このほど書き下ろしたのが『慶應高校野球部「まかせる力」が人を育てる』(新潮新書)である。その組織論、教育論を掘り下げた一冊は、スポーツノンフィクションの枠にとどまらない、ビジネスパーソンや子育て中の保護者の方々にも、多くの「気づき」が得られる内容になったのではないかと自負している。 慶應高校野球部から、我々中間管理職が部下との接し方について、学べることとはどんなことだろうか。その一端を紹介させていただきたい。