井上貴博アナ「テレビはこんなに嫌われているんだ」と日々実感。それでもテレビを変えたいと挑戦を続ける理由
「こんなにも否定されるんだ」自分の意見を言うと決めたコロナ報道で実感
――井上アナは自分の意見をはっきり言うことで有名ですが、社会人になる前からそうでしたか? 井上貴博: そうだったと思います。目上の人に対して、なるべく意思表示をしなければ状況は変えられないし、自分がやっている意味がないと思っていたので、学生時代から意思表示はしていました。 でも、オンエアで自分の意見を言うことに関しては、番組全体のバランスを取る意味も含めて、あまり言うべきではないとずっと思っていました。局アナの職業病でもありますが“自分の発言は局の発言である”という意識も強かったので、コロナ禍前はオンエア上では自分の意見を発することを控えていました。しかし、コロナ禍をきっかけにその考えを変えることにしました。 ――コロナ禍で自分の意見を言うようになったとき、周りの反応はいかがでしたか? 井上貴博: 視聴者の方からの反応がとても強かったです。大多数は「局アナがなんでそんな意見を言っているんだ」というお叱り、ご指摘ですね。「よくぞ言った」という反応は少なかったです。社内的にも「おいおい…」といった雰囲気がありました。 自分の意見を言って思ったことは「何を言っても叩かれるし、人間性まで全て否定されるんだな」と。名前も顔もさらしてしゃべっているので、逃げ場がないんですよね。もちろんある程度覚悟はしていましたし、辞めることになっても仕方ないなと思っていました。それはそれで僕の人生なので。でも、テレビに対してここまで鬱屈したものがあるならやってみようと覚悟して、やり続けて、言い続けました。 ただ、意見を言うときは、誰かを傷つける発言だけは絶対にしないと決めて、“個人的には”とか“僕は”「こう思います」と述べるようにしています。「国民がこう思っています」とか「若者がこう思っています」という言い方は絶対NGにしているんです。このようにオンエアでは“自分”を主語にして意見を言い続けて自由に泳がせてもらっているので、会社には本当に感謝しています。