大震災もコロナも乗り越えたのに「今がどん底」――資金繰り悪化で苦境、「イカ王子」の再出発 #知り続ける
その一方で、鈴木さんは続けた。債権者に頭を下げながら走り回る日々。震災直後とは、また違ったつらさがある。 「大震災から13年になりますけど、正直、今がどん底です。SNS上では、ポジティブな投稿することもあるけど……家に帰っても寝つけない日もあります。うなされるんですよ。一時は外に出るのも怖くなっていた。王冠も外しています。でも、震災復興で学んだ教訓は『立ち止まってはいけない』ということ」 共和水産は現在、スポンサー企業を探すなどして経営再建を図っている。民事再生中のため、クレジットカードによる決済受け付けもできなくなり、インターネットでの販路も絞られてしまった。クレジット決済のできないネットショップの運営は相当に厳しい。 この先、鈴木さんが再びイカ王子を堂々と名乗れる日は来るのだろうか。 「毎日暗闇の中を歩いています。けれども、もう、泣いた顔で歩いているんじゃない。次はどんなことをして乗り越えてやろうか、と企んでいる顔です。能登の人にもいい影響を与えられるよう、必ずこの状況を乗り越えてみせます」