精神科医が案じる「しんどさに気づけない人」...心が壊れてしまう前兆とは
日々「しんどい」と感じつつも、こんなことで弱音を吐いてはいけないと頑張りすぎてしまう人がいます。しかし我慢し続けて、自分でも気づかないうちにメンタルを壊してしまうことも...。精神科医の藤野智哉さんによる書籍『「そのままの自分」を生きてみる』から「心をラクにするコツ」を紹介します。 【心が軽くなる言葉】人間関係が良くなる8か条 ※本稿は、藤野智哉著『「そのままの自分」を生きてみる 精神科医が教える心がラクになるコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「しんどさ」になかなか気づけない人
「しんどい状態」が普通になっている人が多いですよね。 今の日本って、賃金もなかなか上がらないし、円の価値も下がっているし、他人を助ける余裕のある人も少ないし、そもそもコロナ禍を経て、人とのつながりが希薄になっていたりします。 でも、みんな文句を言わずに、がんばって日常を続けてますよね。こんな環境では、心がしんどくなって当たり前なんです。それなのに「しんどいって言わずに、我慢してがんばるのが美徳」みたいな風潮がまだまだ日本にはあったりします。 それが普通になってしまっているのはまずい。だって、人間はそんなに強くないです。しんどい状況が続くと、気持ちがもたなくなることだってあるでしょう。でも調子悪いのがメンタルのせいだと思えなかったり、思ってはいけないという風潮もあったりするんですよね。 それに、「しんどいときほど休めなくなる」という人もいます。「みんなだってこれくらいしんどいだろう」と勝手に思ってみたり、「自分だけが甘えてるんじゃないか」と自分を責めてみたり。 そもそも「みんなが」とか「自分だけ」とか他人と比べる必要はないんです。それぞれバックグラウンドも違えば、状況も、本人の性格も何もかも違うんですから。自分が「しんどい」と思ったら、それはもう「しんどい」ってことです。 ただ、「しんどさ」になかなか気づけない人も多いです。そういう人は、「いつもと違う自分」に目を向けてみてください。 たとえば、 ・なんだかイライラする ・SNSに誰かを傷つける言葉を書いてしまった ・暴飲暴食をしてしまった ・お風呂に入るのがしんどい ・朝、起きるのがつらくなってきた などです。 普段の生活の中でこういう「いつもと違う自分」に気づいたら、「何か我慢してることやストレスになっていることはないか」を考えてみるのです。「あ、私、今ストレスいっぱいかも」「私、つらい気がする」そんな自分に気づいたら、思いきって休んだり、自分をケアするスタート地点です。 これは僕が30年以上人間をやっていてたどり着いた真理なんですが、ごはんを美味しいと思えないときは、何をやってもうまくいかない。がんばる前に、しんどい気持ちをまずはケア。これ、大事なことです。