精神科医が案じる「しんどさに気づけない人」...心が壊れてしまう前兆とは
メンタルをケアするタイミング
人間には一人ひとり「容量」があります。体力もメンタルも無限ではありません。けっこう、あっという間に限界に到達したりします。気づいたら起き上がれなくなっていた、会社に行こうとすると涙が止まらない......なんてことはいくらでも起こりうるのです。 しんどいときはイヤなことばかり目につくし、みんなが敵に見えるからうまくいくものもうまくいかなかったりして。怒りの沸点も低くなるし、小さいことが気になったりもします。こんなふうに「しんどい」「もうイヤ」と思ったときは、ゆっくりお風呂に入り、よく寝て、しっかり食事をとってみてください。 するとどうでしょう? 嘘みたいに疲れがとれず、相変わらずしんどいのです! たまった疲れというのは、そんな一朝一夕でとれるものではありません。だからこそ、たまる前からケアやご自愛が必要なのです。「体」はマッサージに行ったり、ストレッチをしてケアするのに、「メンタル」は全然ケアしない人が多すぎますよね。 「疲れた」「イライラする」「なんか苦しい」と思うなら、メンタルをケアするタイミングです。 絶対大人にもイヤイヤ期ってあるよね? 何もしたくなさすぎる。こんな感じになったときは、休みをとってゴロゴロしたり、自然の中でリラックスしたり、友人とおしゃべりして発散したり、とにかく休むなり、ストレス解消できそうなことをするなり、ご自愛を開始してください。 それでもまだ、「疲れた」とか「イライラする」などと感じているうちはいいかもしれません。苦しいときより、苦しいと感じなくなったときのほうが危ないということは知っておいてほしいです。 感情が動かなくなったら要注意。何も感じないから大丈夫、ではないのです。そんなときは「助け」を求めてください。僕は精神科医ですから、気軽に精神科を受診していただくのもありだと思いますが、もし、まわりに話せる人がいるなら、「助けて」という話をしてみてもいいかもしれません。 強そうに見える人ほど助けを求めづらくて、結果、しんどくなっちゃうことが多くあります。みんな、つぶれる直前まで他人からは強く見えていたりするんですよね。傷が浅い、しんどすぎない段階で対処することが大事です。メンタルも、しんどさがたまる前からケアやご自愛が必要なんですよ。
藤野智哉(精神科医)