東京・鈴鹿、2つの「F1」の熱狂 世界のF1ドライバーが愛する肉グルメも発見!
■シューマッハーがこよなく愛するミートパイ
以来、30年以上にわたって鈴鹿でパンとケーキをつくり続けています。すべての商品でフランス直輸入の原材料を使用した本場の味を楽しむことができますが、私のオススメは、肉好きのミヒャエル・シューマッハー(ドイツ)がこよなく愛するミートパイや、ノルマンディーのイズニー社製の上質バターをたっぷり使ったカヌレとクロワッサンです。 もう一店、ご紹介しましょう。松阪や伊賀といったブランド牛の産地を抱える三重県の中で、鈴鹿は数多くの焼肉店がひしめく「激戦区」としても有名です。そんな鈴鹿で地元民が常に大行列をなすのが昭和34年(1959年)創業の老舗焼肉店「みさき屋」です。 こちらのお店では鈴鹿名物の「ぼつ焼」という、良質な国産豚のハラミ(横隔膜)で豚1頭から300グラムしかとれない希少部位を焼いたものを食べることができます。かめばかむほど味が出る肉で、店秘伝のタレをつけて食べるとご飯がすすみます。この店の定番は「たれ味(味噌)」ですが、私のオススメは「ぼつの一夜干し」です。干すことでうまみが倍増された「ぼつ」を、魚の干物を焼くように焼いて、タレをつけずに食べます。たれ味よりも柔らかめなので子供にも食べやすいです。 松阪食肉市場から直送された新鮮な肉を食べられるこの店には、やはり過酷なレースを乗り切るための体力をつけるために肉をたくさん食べるレーサーが集まり、かつてはアイルトン・セナ(ブラジル)や中嶋悟、現役選手ではフェラーリのシャルル・ルクレール(モナコ)やカルロス・サインツ(スペイン)、マクラーレンのランド・ノリス(英国)、RBのダニエル・リカルド(オーストラリア)、アルピーヌのピエール・ガスリー(フランス)などが訪れています。 2024年春相次いで開催された2つの国際レースを観戦して、長い歴史に裏付けられた日本のモータースポーツ文化の底力と発展性を実感しました。そして、フォーミュラEとF1に限らず、国際レースの開催をきっかけに日本の良さが世界にアピールできる機会が増えることは本当にうれしいことですね。 文・写真:深尾三四郎(伊藤忠総研 上席主任研究員)
深尾三四郎
ミレニアル世代のモビリティーエキスパート。車産業における世界最大のブロックチェーン国際組織で理事を務め、世界中を飛び回る。高校と大学で英国留学。国内外で講演やメディア出演多数。趣味はドライブでの秘境巡りとおいしい卵かけご飯を探すこと。好物は日本酒とチョコ。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。