見た目も乗り味もアメリカンマッスル!! 三菱スタリオンは三菱スポーツ4WDの元祖
三菱ターボ戦略のフラッグシップ
三菱のフルラインターボのフラッグシップがスタリオンで、2Lのインタークーラーなしのターボが搭載された。エンジン自体はギャランΛに搭載されていたものでスペックは最高出力140ps(グロス)、最大トルク22.0kgmだった。スポーティカーながら、排ガス規制などを乗り越えた時代だったこともあり、高性能と低燃費がアピールポイントだった。 当時の三菱のエンジンは天体にちなんだ愛称が付けられていた。オリオン、サターン、バルカン、アストロン、ネプチューンなどがあり、スタリオンに搭載されたG63型の2Lエンジンの愛称はシリウス。エンジンに天体の愛称を付けるとは、なんてロマンチックなんだろうと思う。
4ATのほうが人気
この2LターボエンジンのほかにはノンターボのNAエンジンも設定されていたが、人気はハイパワーのターボ搭載モデル。駆動方式はFRで、スタリオンは三菱が手掛けた最後のFR車ということになる。 トランスミッションは5MTと4ATがラインナップされていたが、人気だったのは4AT。当時のスポーティカーは5MTで乗るのが当たり前だったが、スタリオンはスポーティカーではあるがゴリゴリのスポーツカーではなく、スペシャルティ性のあるGT的なキャラクターだったことも影響していると思われる。
レアなスポーティカー
スタリオンは1982年にデビューして、1990年まで販売されたが販売面では成功することができなかった。筆者で言えば高校、大学時代ということになるが、スポーティカーが最も売れた時代でもあるが街中で目にすることはあまりなくレアな存在。ただ人気モデルが街中に溢れるなか、少数派ということが非常に目立つ要因になっていた。個人的にはスタリオン=シルバーのボディカラーのイメージが強い。シルバーに三菱の赤いスリーダイヤのエンブレムが映えていたが、欲しいと思うクルマではなかった。
地道な進化を続けたスタリオン
スタリオンはその後細かな進化を遂げるが、フルラインターボ戦略に邁進していた三菱の技術力は高く、1983年に2Lターボエンジンは175ps(グロス)にパワーアップ。デビュー時は1気筒あたり2バルブだったが、3バルブ化され、日本車初となる空冷インタークーラーを装着していた。 このエンジンは200ps(グロス)までパワーアップさせ、地道な進化を遂げた。そしてこのエンジンにワイドボディを組み合わせたGSR-VRを50台限定で販売。このスペシャルモデルは限定数が少なかったこともありあっという間に売り切れ、若干数の増産をしたと記憶している。日本車は全幅1700mm以下の5ナンバーサイズが当たり前の時代に、前後のフェンダーを大きく膨らませ全幅を1745mmまで拡大!!今でこそ日本車も全幅1800mm前後のモデルが増えているが、当時はクラウン、セドリック/グロリアでさえ全幅1685mmを死守していたのだから、その迫力たるや凄かった。 あと、GSR-VRでは日本車で初めて50タイヤが認可されたのも特筆事項だろう。今では50タイヤなんて当たり前だが、その先鞭をつけたのだ。