「餅を食べると太る」は本当? 実際のカロリーと気をつけるべき食べ方を栄養士に聞いた
お正月になると、餅を食べる機会が増える人もいるでしょう。雑煮にしたり、焼き餅にしたり、一品でもおいしいですよね。一方で「餅を食べると太る」と言われることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。太りにくい食べ方とは? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。 【動画】切り餅がまさかの変身 パンにしか見えない…絶品餅フレンチトーストの作り方 ◇ ◇ ◇
餅が太りやすいといわれる2つの理由
餅が太りやすいといわれるのは、2つの理由が考えられます。ひとつは、ごはんに比べると糖質が多く、食後の血糖値が急上昇しやすいため、体に脂肪を溜め込みやすくなること。もうひとつは、餅はおかずがなくても、あんこやきなこ、海苔、ゴマ、ずんだ、おろし大根など1種類のトッピングでもおいしく食べられるたことから、何個も食べて栄養バランスが偏ってしまうことです。 日本食品標準成分表2020年版(八訂)の数値を基にすると、一般的な切り餅は100グラム(約2個分)で223キロカロリーです。ごはんは茶碗1杯(約150グラム)で約235キロカロリーなので、餅2個のエネルギーは、ごはん茶碗1杯よりやや低めになります。 とはいえ、たとえば糖質の多い小豆を主原料とした粒あんであれば、100グラムあたり239キロカロリーなので、切り餅1個に粒あん30グラムをまぶして食べると、餅1個でエネルギーは約183キロカロリーと、約70キロカロリーアップします。それを2個食べたならば、約366キロカロリーに。糖質に偏った組み合わせは、血糖値が上昇しやすくなります。 お正月は、おせち料理をはじめ脂質を多く含む料理や、お酒などのアルコールを口にする機会が増えます。また、あまり体を動かさない人も多いでしょう。そのうえで糖質中心のトッピングをした餅をたくさん食べたとなると、あっという間にカロリーオーバーに。ダイエット中の人は注意が必要です。
餅は「食べ方」しだいで太らない
したがって、「餅を食べると太る」というのは食べ方によります。通常の食事の主食として、ごはん1杯を切り餅2個にし、主菜と副菜をプラスすれば問題ありません。たとえば、血糖値の急上昇を抑えるために、雑煮にして野菜など食物繊維の多い食品と一緒にとるようにすると良いでしょう。 また、血糖値の上昇をゆるやかにする作用がある酢を合わせるのも有効です。なますやピクルスといった、野菜を使った酢の物といった副菜と一緒に食べることでビタミンなども摂取できて、栄養バランスが整います。 さらに、餅の原料のもち米は、枝分かれして鎖状にブドウ糖が結合したアミロペクチンというでんぷんのみで構成されています。粘りが強いのが特徴で、一般的に消化吸収に時間がかかります。そのため、餅は腹持ちが良い食べ物といわれているのです。ちなみに、ごはんとして食べるうるち米のでんぷんは、8割がアミロペクチン、2割がブドウ糖が直線状に結合したアミロースで構成されています。餅よりも消化に時間がかかりません。 朝に野菜たっぷりの具だくさんな雑煮を食べることで、満腹感が続き、お正月の暴飲暴食を防げるでしょう。また、お正月だけではなく、日々の朝ごはんの主食に餅を取り入れるのもおすすめです。切り餅2枚を目安に、納豆や卵、肉、魚といったたんぱく質、ビタミンや食物繊維を含む野菜などの食品と一緒に食べることを心がけましょう。
Hint-Pot編集部