長びくコロナ禍――現場から見える10代の困窮「必要なのは継続的な支援」
新型コロナウイルスによる社会活動の制限は多くの人たちに深刻な影響を与えた。10代の高校生や大学生も例外ではない。休業要請や時短営業のあおりをうけ、アルバイト代は激減。親が定職を離れるケースなども見受けられ、支援団体には「携帯代や学費が払えない」「食べるものに困っている」という相談も寄せられている。10代の生活困窮の実態と支援の現場を追った。(取材・文:笹川かおり、撮影:西田香織/Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
親は休職、3人きょうだいの家に届いた野菜や果物
今年の冬、東北地方の高校に通う林美香さん(17、仮名)の家に、一箱の段ボールが届いた。送り主は、福島の農家。家族で粘着テープの封をはがすと、レトルト食材などのほか野菜やお米、果物がつまっている。一緒に暮らす母親、高校1年生の妹、小学2年生の弟と一緒に食材を囲んで見つめ合った。 「野菜を見ながら、『何をつくろうか』って、果物を一緒に食べながら『おいしいね』って、家族で一緒に話し合える時間ができてうれしかった」
美香さんの家庭と農家をつないだのは、認定NPO法人「キッズドア」(東京都中央区)だ。2007年の設立以来、子どもの貧困に特化して学習支援などに取り組んできた。2020年度は緊急のコロナ対策として、文房具や本、食料などの支援を通じて、全国の家庭を対象にのべ3万4182人をサポートしてきた。 美香さんは中学3年生のとき、学校で配布された案内チラシをきっかけに、キッズドアを知った。当初は、学習支援に通っていたが、昨年4月の緊急事態宣言で状況は一変。キッズドアからのメールで食料支援を実施している団体を知り、スマホから申し込んだ。
3人の子を育てる美香さんの母親は保育士だ。保育園で管理職として働いていたが、昨年の一斉休校によって、自宅で子どもの面倒を見るために出勤できなくなった同僚が増え、勤務態勢の調整などで激務が続いた。美香さんの弟の小学校入学や妹の高校受験も重なり、日々のストレスからメンタルに不調を抱えてしまう。職場で役職を外れ、時短勤務に切り替えたが体調は良くならず、数カ月前に園の仕事を休職。しばらく家で寝こむ日々が続いた。 今年の9月下旬に復職したが、フルタイムで働けなくなったため、待遇は正社員ではなく嘱託社員となり、時給1400円で1日6時間働いている。コロナ禍以前に480万円ほどあった年収は、約半分になる見込みだ。復職後に傷病手当金は受け取った。それでも、収入が途絶えた休職中に住民税や年金保険料を支払うのは大きな負担だったという。 いま美香さんは、母親の体調を気遣いながら、学業のかたわら家事を分担して、小さな弟の面倒も見る日々を送る。 「朝、起きるのは6時半。弁当を作って着替えて、7時15分に家を出て、7時45分から学校の朝課題を受けて、その後授業が始まります。通常は午後4時半に学校が終わって、課題がある日は課題を受けて、午後6時、7時に家に帰ります」