長びくコロナ禍――現場から見える10代の困窮「必要なのは継続的な支援」
受験勉強に集中できない
現在、高校3年生で大学進学を目指す受験生の美香さん。こういった状況で、そもそも家で勉強に集中することは難しい。 「緊急事態宣言の影響は大きかった。家では勉強が手につかなかった」と美香さんは語る。 宣言中は、ふだん勉強場所として使っていた高校の自習室は利用時間が短縮。夏休みや休日も、カフェやファストフード店は長時間の勉強を禁止していて居場所にはならなかった。その時期は、キッズドアからタブレットとモバイルWi-Fi端末の提供を受けて、自宅で家族の面倒を見ながら勉強を続けた。
美香さんは、コロナ禍で過ごした高校生活をふり返る。 「高校生活は全然どこにも行けてなくて、修学旅行もギリギリで中止になってキャンセル料もかかって……。もうすでに終わったような感覚ですね。希望していた国公立大学のオープンキャンパスも県外参加はNGという理由で断られてしまいました。でも小さい頃から子どもの社会的養護の分野に進みたいと思っていたので、受験勉強は頑張りたいです」 宣言が解除され、美香さんは日常を取り戻しはじめている。ようやく、キッズドアの学習支援にも週に1度通えるようになった。 高校3年生、受験勉強に集中したい――。コロナ禍に翻弄される美香さんにとって、この願いをかなえることは難しい。
家賃や公共料金を滞納する貧困家庭
キッズドア理事長の渡辺由美子さんは、支援家庭の現状をこう話す。 「食べるものに困り、家賃や公共料金を滞納する家庭が増えてきた実感があります。家を追い出されるんじゃないか。電気やガスが止まっちゃうんじゃないか。携帯まで止まったらどうしよう……。そんな生活の不安が続いて、メンタルを崩してしまう親も増えてきました」 コロナ禍以前から、キッズドアが支援する家庭はひとり親家庭が多かった。非正規雇用で月の手取り額は12万~15万円。そこに児童扶養手当が児童1人の場合、親の収入に応じて4万3160円から1万180円が入る。それで家賃や生活費を支払って、なんとか生活していた。そういった家庭が多いという。