カマンベールに独自スパイス添付 「味変」で新たな楽しさ提供 明治
明治は9月1日から、「明治北海道十勝カマンベールチーズ専用スパイス付き」を14万4千個の数量限定で全国発売している。価格は据え置きで、既存の「明治北海道十勝カマンベール」の箱上部に専用スパイス「ザ・ゴールド」(1g)を添付した。味変やちょい足しニーズに応える新たなアイデアで、需要拡大につなげる。 スパイスは、明治とカネカサンスパイスの共同開発。粉末たまねぎ・にんにく・みそ・しょうがのうまみをベースに、隠し味には希少な金の太陽花椒を使用した。「旨味に作用する香辛料のスパイスが香ることで、おつまみとしての価値が上がる。スパイスのオレンジがチーズの白に映えて、今までにない体験が提供できる」(西日本支社量販営業二部営業一課係長の後閑宏明氏)。 今回の施策は、開発部門ではなく営業部の有志5人で発足したプロジェクトチームが「ニッポンの食卓をチーズで変える」をテーマに、半年間でアイデア出しから商談企画までを行った。「流通に提案する際に一番近いのは営業担当者。食卓に近い立場で提案できることがあると考えた」(後閑氏)。 完成したスパイスは23年度に、ボトルタイプを非売品として、全国約3千店舗でチーズや冊子とセット販売した。「バイヤーの方にも面白がっていただけた。チラシ掲載や企画景品にもなり、SNSで大きな反響があった」(同)。今回はより多くのチェーンが参加できるように商品への添付を決めたという。
フローズン・食品事業部の右川祥太朗氏はチーズ市場が抱える課題について、販売額は伸長している一方、販売量は伸び悩んでいる点を挙げる。値上げによる単価アップや買い控えなどが要因とみられ、物量回復を課題とした。 こうした環境下「何もしなければダウントレンドになる」という認識のもと、同社ではチーズの販売力向上に注力してきた。スパイス施策のほか期間限定品の投入、“ココットカマン”など食べ方提案を強化した結果、23年11~12月の需要期は前年比7%増で推移した。 新たな取り組みについて、右川氏は「添付した1gはホールタイプをおいしく食べられる適量。今までにない味変で市場を拡大し、生乳需給の課題解決につなげたい」と意欲を示した。