浴槽のあふれるお湯で「2000年以上にわたる原理」を発見…!喜びで「思わず裸のまま街に飛び出した逸話」も2000年以上残ってしまった天才の実名
ピラミッドやストーンヘンジに兵馬俑、三内丸山遺跡や五重塔に隠された、現代人もびっくりの「驚異のウルトラテクノロジー」はなぜ、どのように可能だったのか? 【画像】この度、復活を遂げたパリの至宝…ノートルダメ大聖堂に隠された超技術 現代のハイテクを知り尽くす実験物理学者・志村史夫さんによる、ブルーバックスを代表するロング&ベストセラー「現代科学で読み解く技術史ミステリー」シリーズの最新刊、『古代日本の超技術〈新装改訂版〉』と『古代世界の超技術〈改訂新版〉』がベストセラーになっています。 それを記念して、残念ながら本編には収録できなかったエピソードを短期集中連載でお届けします。第1 回の主役は、古代ギリシャを代表するあの偉大な科学者です!
科学と技術を結びつけた最初の人物
古代ギリシャの科学と技術は、アルキメデス(前287~前212)抜きには語れない。 アルキメデスは、イタリア南端のシチリア島南東部に位置した古代ギリシャの都市国家の一つ、シラクサ(シラキュース)出身の数学者、物理学者、天文学者、技術者、発明家である。現代につながる科学、技術は、このアルキメデスからはじまったといっても過言ではない。 アルキメデスはまた、科学と技術を結びつけた最初の人物といわれる。古代世界における第一級の科学者にして、技術者である。 数学の分野におけるアルキメデスの業績は少なくないが、特に私が驚くのは「球とそれに外接する円柱との体積および表面積の比は、いずれも2対3になる」ことの発見と証明である(図1)。 私は単純に、面積(2次元)と体積(3次元)という次元が異なるものが、いずれも同じ2対3という比になることに驚く。
アルキメデスの墓碑に刻まれていたもの
アルキメデスが紀元前212年、第二次ポエニ戦争の最中にローマのマルケッルス将軍の兵士に殺害されてから137年後に、アルキメデスの墓を訪ねたローマの哲学者・キケロ(前106~前43)によれば、アルキメデスの墓は、この「球とそれに外接する円柱」がデザインされたものだったという。 アルキメデスの偉大さを熟知していたマルケッルス将軍は、彼の安全確保を全軍に周知していた。それにもかかわらず、無知な一人の兵士によってアルキメデスが殺されてしまったことを知ったとき、マルケッルスは大いに失望した。 彼は世界で最も裕福な都市の一つを攻略し、地中海のローマ支配を確保したが、すべての中で最も価値あるものーーすなわち、「アルキメデスの知性」を手に入れることができなかった。マルケッルスは、アルキメデスを丁重に葬ったという。 余談ながら、数学に関する賞では最高の権威を有し、ノーベル賞に数学賞がないことから「数学のノーベル賞」ともいわれるフィールズ賞のメダルの表面にはアルキメデスの肖像が、裏面には上述の「球とそれに外接する円柱」が描かれている。 物理学におけるアルキメデスの業績も少なくないが、彼の物理学に対する関心の持ち方には、一つの際だった特徴がある。
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