【専門医が解説】認知症は「脳という臓器の衰え」です!
「認知症」と診断されることは本人にとっても、家族にとっても大きなショックとなる。そんなときは、どのように向き合ったらいいのだろうか?認知症専門医、「メモリーケアクリニック湘南」院長の内門大丈さんに聞いた。 (注)認知症は病名ではなく症状名。以下、特別な注意書きがない場合は認知症=アルツハイマー型認知症とする。
認知症への偏見を取り去ることが第一!
最近では認知症の前にSCD(主観的認知機能低下)やMCI(軽度認知障害)という段階があると考えられている。SCD(主観的認知機能低下)とは自分ではもの忘れの自覚があるが、周囲は気づいていない状態。MCI(軽度認知障害)はもの忘れの自覚があり、周囲も気づき始めている状態だ。 「認知症への社会的な関心が高くなるのに伴い、最近では『もしかして?』と初期の段階で医療機関を受診する人が増えてきました。すると、今はそんなに症状は出ていなくても、今後認知症に移行する可能性が高い…といった診断ができるようになりました。軽い段階で病気が判明するのは、早期治療がしやすくなるのでいいことなのですが、認知症となると本人も周囲も受けるショックが大きいようです」(内門先生) そこには認知症に対する偏見があるのでは? と内門先生は言う。 「できていたことができなくなる、変なことを言う、家族の顔もわからなくなる…といった情報から、認知症という診断に対して強い拒絶感を示す人は少なくありません。それは、認知症に対する偏見があるからだと思うのです。偏見は恐怖や不安につながります」 ◆大切なのは、まずはその偏見を取り除くこと。 人は「高血圧です」…と言われても、年のせいとしてそれほど拒絶感を感じない。冷静に受け止めて、生活習慣を改善したり薬を飲んだりするだろう。認知症も脳内にアミロイドβが蓄積した状態なのだと認識して、高血圧と同じように考えて対処したらどうだろうか?
「年をとったら、肝臓、腎臓、心臓もそれなりに機能が低下します。認知症も脳という臓器の衰え、老化現象だと考え、そのうえでどうつき合っていくかを決めていくといいでしょう」