ダイオウイカの相次ぐ捕獲は不吉な前兆?
今年1月に入り日本海の沿岸各地で、深海に棲むダイオウイカが相次いで水揚げされた。さらに28日には、“地震の前兆”とも言われる深海魚リュウグウノツカイが秋田県沖で漁網にかかり、生け捕られるなど、「天変地異の前触れでは?」と心配する向きもある。はたして真相は…? 話題のダイオウイカ 天敵・マッコウクジラに反撃も
それほど珍しくない?
昨年のNHKの放送で一大ブームとなったダイオウイカ。今年1月4日に富山県氷見市沖の定置網に体長(外套膜と腕の長さ)約3.5メートルのものがかかった。8日には新潟県佐渡市沖の定置網に体長約4メートル、重さ約150キログラムの生きたダイオウイカ、19日には同県柏崎市の海岸にも体長3~4メートルのものが打ち上げられ、さらに20日には鳥取市沖で底引き網に全長約3.4メートル、重さ約100キログラムのものがかかった。 ふだん水深300~1500メートルの深海に棲むダイオウイカが、こうして相次いで比較的浅場の網にかかるのは「何か異常なことが、海やその海底で起きているのでは」とも思いたくなるが、それほど珍しくはないらしい。鳥取県では今回が初めてだが、新潟県柏崎市の海岸では1960年2月以来今回が2例目、新潟県内では13例目となる。富山県内では1997年と2004年に体長2~3メートルのダイオウイカが水揚げされたが、地元漁協関係者によると、氷見沖では年1回程度捕れるが、食べてもまずいので、漁業者が海上で処分することが多いのだという。
水温が低下して浮いてきた?
ダイオウイカの世界的な研究者、国立科学博物館の窪寺恒己(くぼでら・つねみ)博士は「2006年冬には6個体のダイオウイカが、日本海から揚がった。非常に強い寒気団が来たり、強い西風が吹いたり。そうしたいくつかの要件がマッチしたときに、何個体かのダイオウイカが現れる」とFNNニュースで語った。 窪寺さんは、2004年に世界初となる生きているダイオウイカのデジタル画像を撮影し、06年にはダイオウイカを生きたまま海面まで釣り上げ、その行動を撮影した。さらに12年には、潜水艇に乗り込み水深630メートルの深海でダイオウイカの生態撮影に成功した。この時の模様が昨年1月、NHKスペシャル『深海の超巨大イカ』として放送され、高い視聴率を稼いだ。 その窪寺さん。日本海に入ってきたダイオウイカは、冬の水温が低くなって体の調子が悪くなり、浮力中立が取れなくなったものが表面に浮いてきたのではないかと指摘する。 ダイオウイカは、海岸に漂着したものや、マッコウクジラの胃袋から見つかった(食べられた)記録などをもとに調べると、ほぼ世界中の温帯海域から亜寒帯海域に広く分布している。エサとするのは小型のイカやソコダラ、甲殻類など。動物ギネスブックによると、1939年ノルウェーの漁師が捕獲した体長13メートル、触腕8.7メートルのものがこれまで最大だ。日本近海のダイオウイカでは、体長5メートル前後が最大級という。