賃上げ動向は日銀の想定上回る? 新総裁のもと「超緩和」は終了か
問題は賃金上昇の持続性です。その点について日銀が1月に発表したリポートでは、それを点検する文脈で「先行き、景気の回復により労働需要が強まっていくもとで、2010 年代ほどは労働供給の増加が見込めず、労働需給が一段と引き締まる可能性が高い」という分析が示されています。これまで労働力増加に貢献してきた(1)女性の労働参加率が先進国の中で高水準に達しており追加的な増加が見込み難いこと、(2)いわゆるベビーブーム世代(1947~49年生まれが向こう数年で75歳以上となり労働市場から完全に退出していくこと、が背景として指摘されています。 こうした分析は決して目新しいものではなく広範に知られていることですが、イールドカーブコントロール終了を説明する際の根拠としては、まずまずの説得力があります。新総裁は賃金上昇率の高まりに一定の満足感を示した上で、金融緩和の副作用を踏まえ、現在のYCCを終了するのではないでしょうか。
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