歌舞伎症候群という難病の息子。生まれたときは妻にも僕にも似ていなくてとまどいも。それが病気の症状とは思いもよらず…【歌舞伎症候群体験談】
リトミックで先生の指示が伝わらず、動きについていけない息子を見て「何かある」と感じた
楽くんは退院後、すくすく成長しました。しかし成長するに従い、気になることが…。 ――楽くんの成長について教えてください。 真理子 楽の名前は、夫婦で考えました。どんな状況でも楽しく生きていってほしいという願いを込めて、命名しました。 楽は生後3カ月ごろから、あやすとニコニコ笑って、本当にかわいかったです。母乳もよく飲んでくれて育てやすい子だな~と思いました。 聖志 本当によく笑う、かわいい子です。それは今でも変わりません。生まれたときにちらりと感じた「だれにも似ていないな…」というようなことは気にならなくなっていました。 しかし、だんだん発達の遅れが気になるようになりました。楽は保育園に通っていたのですが、まわりの子よりも運動の発達面が遅くて1歳半を過ぎても1人で歩けないんです。1歳6カ月健診で相談したら「経過観察」と言われました。 言葉の遅れも気になりました。「ママ いた」などの2語文から進まないんです。 体も小柄でした。 3歳のとき長女とリトミックを習っていたのですが、楽の様子を見ていると先生の指示が伝わっていなくて、お友だちの動きを見てまねしていることがわかりました。同じ年齢の子はできているのに、楽だけ片足立ちやケンケンもできません。その姿を見たときに「何かある」と思いました。 また楽は重度のアレルギーがあり、アナフィラキシーショックを起こして、これまで3回病院に駆け込んでいます。急に顔色が悪くなり、呼吸状態がおかしくなり、あわてて救急車を呼んだこともあります。でも、うちの家族はみんな同様のアレルギー疾患がないので「なんで楽だけ?」と思っていました。検査をしたところナッツ、くるみ、卵がアレルゲンとわかりました。 ほかにも2歳を過ぎたころに、白斑が現れたんです。歌舞伎症候群の症状は個人差がありますが、楽のように発達の遅れや白斑が見られることもあります。 しかし、まさか大きな病気だとは思わず「なんだろう…」とずっと考えていました。私は精神科の医師です。知人の医師にも相談したのですが、みんな口々に「なんだろう…」と言っていました。
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