CSファイナルSで126球1-0完封勝利したオリックス山本由伸の何がどう凄かったのか…緊張と不安を脱した修正能力
パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージ第1戦が10日、京セラドーム大阪で行われ、王者のオリックスが1-0で2位のロッテに先勝した。ヒーローは先発のマウンドを託されたリーグ“4冠“エースの山本由伸(23)。緊張からか立ち上がりに不安は見えたが、抜群の修正能力でロッテ打線を5回以降をパーフェクトに抑えて無四球4安打10奪三振の完封勝利で初回にT-岡田の右前タイムリーでマークした1点を守り切った。アドバンテージの1勝を持つオリックスは2勝となり今日11日に連勝すると日本シリーズ進出に王手をかける。
「最後までドキドキでした」
最後のエネルギーを自らに注入するように、ベンチの後列で戦況を見つめていた山本が帽子をかぶり直した。4番・杉本裕太郎が空振り三振に倒れて二死となった8回裏。直後にベンチ前に姿を表した「18番」がキャッチボールを開始した。 8回を投げ終えた時点で球数は「109」に達していた。それでも全幅の信頼を寄せるオリックスベンチに動く気配はない。完封での先勝を期待するスタンドから降り注ぐ、万雷の拍手に背中を押されながら山本は最終回のマウンドへ向かった。 初回と3回に右前打を浴びた1番・荻野貴司を150キロの直球で二塁ゴロに、一発長打のあるマーティンも144キロのフォークで一塁ゴロに打ち取った。3番・中村にはファウルで6球粘られたなかで、3球目と7球目の直球が156キロを計測した。 カウント2-2から投じられた10球目。真ん中高めの151キロの直球はセンターへいい角度で上がるも球威が勝った。伸びを欠いた打球が福田周平のグラブに収まると、山本は両手をひざにあてながら視線をマウンドへ落とした。 「最後までドキドキ、ドキドキでしたが、何とか勝ち切れてホッとしています。ひとつアドバンテージはありましたが、とにかく初戦の1勝は大事だとわかっていたので」 試合後のお立ち台に上がった山本は、プロ5年目で初体験となるCS登板を心地よさそうな表情で振り返った。一緒に登壇した打のヒーロー、T-岡田から「由伸なりに緊張があったと思う」と胸中を慮られ、大きく首を縦に振りながらうなずいた右腕が見せたピッチングは、しかし、特に4回以降でロッテ打線をまったく寄せつけなかった。