「他とは違う恐さがあった」“クイズの帝王”伊沢拓司が高校時代に最も恐れた相手は…?「全国模試No.1」北海道の公立校にいた“旭川の神童”の正体
不安のあった「早押し対決」…旭川東が掴んだ“流れ”
続く2回戦は不安を抱えていた、1対1での早押しだった。 それもあって宿舎では「(早押しに強い)開成や浦和とは当たりたくないね」という話をしていたという。特に開成にはこの年、田村という主人公がいた。重綱が言うところの「テレビ的な主役」もそろっていたのだ。 「ただ、だからこそ『これだけ1回戦で目立った自分たちとはすぐに当てないんじゃないか』という思惑もありました。その意味でも1回戦での活躍は大きかったんだと思います」(塩越) そんな旭川東の想いが通じたのかは定かではないが、2回戦の相手は京都の名門・洛南だった。そして、この2回戦でも旭川東の流れを加速させる出来事が起こる。 「大会後に対戦相手の洛南の子に聞いたんですけど、彼らの中のひとりにカーレースの『F1』がめちゃくちゃ好きなメンバーがいたらしいんです」(重綱) そして、なんの偶然か2回戦では偶々、そのF1に関する問題が出題されたのだという。だが、持っている実力通りに進まないからこそスポーツは面白い。その問題を取ったのは、重綱だった。 「僕は勉強面では塩越や他の強豪校に比べれば全然でしたけど、雑学的な知識やスポーツのジャンルは好きだったので」 もちろんその時点では、重綱はF1が向こうの得意ジャンルなどということは露と知らない。だが、結果的に得意ジャンルの、ある意味で「取れるはずだった」問題を落としたことで、洛南側に焦りが起こったであろうことは想像に難くない。 「緊張していた」という“天才”塩越も徐々に実力を発揮し、結果的に懸念の早押しは完勝で突破。ベスト4に進出した。 準決勝に残ったのは、県立船橋と戦前からマークしていた県立浦和。そして、伊沢率いる開成だった。 <次回へつづく>
(「Number Ex」山崎ダイ = 文)
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