府中にオープンした「RamenRouge」は「かえし」のない画期的なラーメン
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。 山本益博のラーメン革命!
「開化楼」のカラスさんに教えてもらった坂田さんの新しい店
府中・白糸台に「RamenRouge」が開店するという話を私に教えてくれたのは、麺専門卸「開化楼」のカラスさんだった。実は「開化楼」のオーナーの奥方は、私の中学校の同級生で、それが縁で、新しい店の開店情報などを教えてくれる頼もしい人なのである。 今年の10月だったか、FaceBookに「RamenRouge」の新店舗開店情報がポストされ、気にはなっていたのだが、カラスさんからのお知らせで、それが坂田敦彦さんが独立して開く新しい店で、店がオープンしてしばらくしてから出かけてみて欲しい、と言われた。
それでも、気になって仕方がないので、カラスさんからの連絡を待たずにフライングして、オープン間もなく足を運んだ。すると、開店時間前から列ができているではないか。 店は、京王線武蔵野台駅より歩いて5分ほど、なんと白糸台の車返団地の一角にある。品書きには「中華そば」「特製中華そば」「季節のそば」の三品。 私は基本的に連食はしないので、二日続けて出かけ「中華そば」と「特製中華そば」をいただいた。違いは、「特製」にはチャーシューが2枚、それに半熟玉子がつく。どちらに軍配を挙げるかというと、「中華そば」だった。スープと麺と具のバランスを考えると、分厚いチャーシュー2枚は、私には多いように思われた。また、途中で玉子を崩すと、スープが次第に混濁してゆき、もったいないように思えたのである。
ついぞ、今まで味わったことがないスープであることを実感
「中華そば」は、清澄な色合い、芳醇な香り、爽快な味わい。はじめの一口目から塩気を感じさせるようなインパクトはなく、二口目でもその正体を現さず、三口目になってようやく、優しく、穏やかで、それでいて味わいが深いスープが姿を現す。ついぞ、今まで味わったことがないスープであることを実感する。 「中華そば」のスープには、鶏と鴨がベースで、さらにチーユ(鶏油)が入っていて、塩味は生ハムからだという。 「RamenRouge」の「中華そば」の 最大の特徴は、「元ダレ」というか「かえし」のない画期的なラーメンなのである。 そこで、後日、坂田さんにお話を伺った。 「かえしのないラーメンを考えた原点は何だったのでしょうか?」