府中にオープンした「RamenRouge」は「かえし」のない画期的なラーメン
「もともとフランス料理出身で、毎日ずっとフォン(出汁)を引いてきて、特に根拠はないのですが、出汁に対する絶対的な自信があった点でしょうか。 今は思ってないですが、以前は、自分の中で、『かえし』とは多少の誤魔化しができて、誰でも均一な味を提供するためのシステムと解釈していたので、必要ないと考えたのです」(坂田さん) なんとも説得力ある発言ではなかろうか。
フレンチ出身のシェフがラーメン界に転身して、新風を送ってきたが、それでも「トリュフ(オイル)」を使ったり、「オマール海老」から出汁をとったりという程度で、ラーメンを根本から変貌させたことはなかった。 「RamenRouge」の中華そばは、「濃厚」「激旨」などアクセントが強いラーメンが流行するなか、静かに「淡麗」「薄命」といった「儚い命」を楽しませてくれる「美味しい革命」のラーメンである。
● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
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文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)