全米OPで松山英樹が首位に5打差の4位タイ…メジャー初Vの歴史的偉業を達成できるのか?
「昨日よりは風が少し穏やかだったので、ピンをデッドに攻めやすかった、というのはありました。バーディーパットを打てている、というところでバーディーの数も増えて、すごくよかった、というところもあったんですけど……」 15番以降の4ホールだけで残念ながら貯金を吐き出してしまったが、それでも6バーディー、4ボギー、1ダブルボギーのトータルイーブンパーで粘った価値は大きい。 4アンダーの首位で第3ラウンドをスタートさせたパトリック・リード(30、米国)が後半だけで6ボギー、1ダブルボギーと8つもスコアを落とすなど、松山以外の上位陣のほとんどが難コースの洗礼を浴びたからだ。 ウィングド・フットGCで前回に全米オープンが開催された2006年は、優勝したジェフ・オギルビー(オーストラリア)のスコアが5オーバーだった。そして、2020年の全米オープン開催が全米ゴルフ協会から発表されたのは2013年1月。アンジュレーションに富んだ高速グリーンを含めて、実に7年以上もの歳月が費やされて難度の高いコースが作り上げられてきた。 例えば強い風が吹き、時間の経過とともにグリーンが硬くなった2日目でアンダーパーをマークしたのは、プレーした143人の選手のなかでたった3人だった。そのなかの1人で、1アンダーで回った松山は、優勝の予想スコアを聞かれてこんな言葉を残している。 「この風とグリーンの状態が続けば、アンダーパーはいなくなるんじゃないかな、という感じがある。コースコンディションがタフになってきているので、(スコアを)伸ばしていける展開にはならないと思うので、初日、2日目と同じく粘り強くプレーできたら、と思っています」
強風こそ吹かなかったものの、それでもトータルでアンダーパーをマークしている選手は、第2ラウンドを終えた段階の6人から第3ラウンドでは3人と半減した。首位のウルフもアウトの5アンダーに対してインはイーブンに終わっている。 ピンポジションを含めて、最終日のウィングド・フットGCはさらに難度を増してくる。だからこそ、上位全員にチャンスがあり、松山にとっては、14番ホールまでに見せた安定感あふれるショットを取り戻すことが悲願達成のカギとなる。 「いいところと悪いところがはっきりしている、という感じなので、それらがすべていい方向へ行けば明日もすごくチャンスがある、最後まで戦えるんじゃないかと思います。今日の前半のようなショットを打って、あとはパッティングをしっかり決められるように頑張りたい」 松山にも手ごたえがある。修正すべき点がわかっているからこそ、第3ラウンドを総括した表情も決して落胆したものではなかった。 日本女子では樋口久子が1977年に全米女子プロを、渋野日向子が昨年に全英女子プロを制しているが、男子ではともに全米オープンで青木功が1980年に2位、2017年に松山が2位タイに入ったのが最高位となっている。まだ記憶に新しい3年前の松山は、14位から出た最終日に66の猛チャージを見せながら、優勝したブルックス・ケプカ(米国)に4打及ばなかった。 2014シーズンからアメリカのPGAツアーを戦いながら磨きをかけてきた、群を抜くショットの安定感を武器に、首位の背中を視界にとらえて最終日を迎える点で今年はまったく状況が異なる。 では優勝の可能性は?