「ジェネリック薬」4割超に製造過程における不備が発覚 “品質のばらつき”“ずさんな管理体制”への問題が浮き彫りになってもシェアを伸ばす理由
「ぜんそく発作」に襲われたケース
先発薬と同一の効果を発揮するといわれるジェネリック薬。だが、“完全に同じ”というわけではない。両者の違いについて、前出の三上さんが語る。 「主成分以外の、薬の形を形成するための添加剤が異なることがありますが、安全性、有効性は先発薬と同じ、と確認する試験は行われています。 また、製造方法については特許が切れていない場合もあり、あくまで同じ主成分の吸収や血中濃度の上がり方などの代謝、排泄が同じものなのです。なお、ジェネリック薬には先発薬より味や形状を改良しているものもあるので、細かな原材料や形状に差異があることはもちろんあります」 その違いが、先発薬の使用中には起きなかった体の異変を引き起こすことがある。都内在住の60代女性は、自身のひやりとした経験を明かした。 「私は気管支ぜんそくの持病があり、体調が優れないときは就寝前、胸や背中に気管支拡張剤のテープ薬を貼っています。数年前に、医師が言うままジェネリック薬に変えてみたところ、翌朝、ぜんそく発作に襲われてしまったんです。 後で医師に聞くと、先発薬は効果がゆっくりと持続するように設計されていますが、ジェネリック薬はすぐに吸収されて持続時間が短く、効果が朝まで保たなかった可能性があるとのことでした。貼ってすぐに動悸を感じたのも、そのせいだったのかもしれません。久しぶりに発作が起きてとても怖かった。その経験以来、ジェネリック薬は使っていません」 栃木県に住む70代の男性は、次のような異変が現れたと訴える。 「数年のみ続けていた脂質異常症の薬を、医師に『同じ薬だから』と言われたので、ジェネリック薬にしてみたところ、2週間ほど経った頃から、歯を磨くと歯ぐきから出血するようになったんです。 慌てて医師に相談すると、まれに副作用で血液が固まりにくくなることがあるので、そのせいかもしれないと言われました。先発薬に戻してもらうと症状は治まりました。よかれと思ってのんでいた薬でこんなことになるなんて思いもしませんでした」 前出の医療ジャーナリストは、ジェネリック薬の使用で命の危険にさらされたケースもあると話す。 「心臓に酸素や栄養を供給する冠動脈が発作を起こす『冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症』の持病を持つ60代女性が、血管を拡張させる作用のある『カルシウム拮抗薬』を先発薬からジェネリック薬に変えた途端、強い胸痛を訴えて救急搬送されたのです。有効成分の効き方が先発薬と異なることが原因だと推測され、医師の間では周知されました」
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