篠田直哉(メモ少年)「小学校時代、ロバートのおっかけから始まった夢を〈就職〉で現実に。〈バズるコンテンツ〉は逆算して作る!」
◆そもそも根本的には、出たくないタイプ。 池松:そんなに表に出ていると、周りから「出たがり」って言われたりしませんか? 篠田:ありますね。「出たがり」と思われているという認識はあります。 池松:僕は篠田さんが本来そういうタイプではないと感じているのですが、どのように説明しているのですか? 篠田:「陰キャ」というか、暗いタイプだったので、『表に出ることで社内で企画が通りやすくなったり、番組のPRがしやすくなるので出るようになりました』と説明しています。これがどれだけ説得力があるか分かりませんが、「本当は出たくない」という気持ちを、社内にはまだきちんと伝えられていないのかもしれません。 池松:「スキ!」を仕事にするためには、「本当の自分」と「本意ではない自分」の両方が必要で、この葛藤は、多くのビジネスパーソンが抱える共通の課題ではないかと思います。ここで特筆すべきは、篠田さんが「何者かになりたい」という承認欲求に駆られているわけではないという点です。篠田さんは「SNSで自分を語り、認知度を高めたい」と考える人とは一線を画しています。だからこそ、今回の対談インタビューを実現したいと思ったのです。
◆篠田Pの「スキ!になれる能力」 池松:篠田さんは「テレビの番組をつくる人」なので「コンテンツを作る難しさ」について聞きたいと思います。社歴が6年になりますが、中堅の若手から見てどうですか?テレビって。 篠田:テレビって、どこかに言い訳できる構造があるのではないかと感じます。例えば、良い番組内容だったけど視聴率はイマイチだったとか、裏の番組の視聴率が良かったからとか。いろんな状況があるのですが、言い訳がしやすいのではないかと。たとえば局内では「番組を作る部署(制作)」と「番組を宣伝する部署(宣伝)」「番組のスケジュールを決める部署(編成)」などが分かれて存在しています。これは、どのテレビ局も同じだと思いますが、組織で分業しているゆえに、テレビの現場って言い訳しやすい構造なのかもしれません。 池松:なるほど。むかしはYouTubeやSNSが無かったからで、情報発信できるのはテレビ局やマスコミしか無いのですからね。SNSネイティブだと、仕事の仕方も変わりますね。 篠田:そうかもしれません。それに、そもそも僕は「演者(タレントさん)にフォーカスをあてた番組」を作るのがスキなのです。 池松:『秋山歌謡祭』はそのものですね。 篠田:新人研修でも同じような話しをしているのですが「演者(タレントさん)ファーストの番組作り」を大事にしています。 池松:ちなみにそれは「なに愛?」なのでしょうか? 篠田:そうですね。「演者への愛」かもしれません。やはり、演者(タレントさん)はコンテンツの最終的な見え方や責任を負っています。たとえば、『秋山歌謡祭』なら、ロバート・秋山さんがそれを担っています。しかし、その企画を最初に持ち込んだのは自分ですから、「それはおまえの企画だろ」ということなのです。だから、私もその責任をきちんと背負わなければならない。だからこそ、出演するタレントさんへの愛が何よりも重要だと考えています。 池松:さらに深堀りすると、その愛は仕事論的には「なに愛?」になるのでしょうか? 篠田:そうですね。「コンテンツ愛」かもしれません。 池松:しっくりきました!話している瞬間、今日一番のイイ顔をしていましたね。(笑) 篠田:自分が作った番組やYouTubeコンテンツがもし失敗したら自分の責任ですし、それを「××さんがダメだったから上手くいかなかった」とは言いたくないのです。だから、自分が担当する番組に関しては、出演する演者(タレントさん)や、ゲストのことを1回とことん「スキ!」になって調べます。 池松:その向き合い方は、すごく素敵です。