アニメ監督・鴫野彰さん逝去 死因の「胆管がん」の原因・発症しやすい人の特徴を医師が解説
胆管がんの診断
編集部:胆管がんは生存率が低いと聞いたのですが…。 甲斐沼先生:胆管がんの生存率は、他のがんと比べて低いことがわかっています。国立がん研究センター公表の2009~2011年の部位別がん5年相対生存率によると、胆のう・胆管がんは男性26.8%・女性22.1%であり、ともに最下位から2番目でした。 胆がんの中でも肝内胆管がんの5年生存率(診断年2013~2014年)をステージ別でみると、Ⅰ期58.9%・Ⅱ期34.6%・Ⅲ期24.2%・Ⅳ期5.6%となっており、ステージが進行するにつれて生存率も下がります。 しかしこの生存率は、がんの種類・部位・ステージ・全身状態・治療方法によって変わってきます。 生存率の結果からもわかるように、胆管がんは早期発見・早期治療が大切です。早期発見できると早期から治療を開始でき、状態によっては根治・長期生存が可能になります。気になる症状・胆管がんに当てはまる症状が見られた場合には、すぐに専門医を受診するようにしましょう。 編集部:胆管がんと診断された場合、食事で注意することはありますか? 甲斐沼先生:胆管がんと診断された場合、症状の改善・悪化予防・治療効果の向上のために、食事についても注意が必要です。 胆管がんでは、腸へと向かう正常な胆汁の流れをがんが妨げるので、脂肪の消化・吸収が悪くなります。したがって、脂肪分を摂り過ぎないようにしましょう。 揚げ物などの油もの・脂肪分の多い肉類・乳製品などの消化しにくいものは避けることが大切です。 また、大豆製品・魚などの良質なたんぱく質を取り、香辛料・コーヒー・紅茶は控えめにするよう心がけましょう。加えて、1回の食事量を減らして回数を増やし、腸の消化・吸収の負担を減らすことも重要です。 これらの注意点は、がんの進行具合・症状・治療方法・全身状態によって変わってきます。専門医と相談し、その指示をしっかり守りましょう。 編集部:最後に、読者へメッセージをお願いします。 甲斐沼先生:胆管がんは、あまり予後がよくない病気です。初期には無症状の場合が多く、早期発見が難しいことが原因の1つとして挙げられます。発見が遅れてしまうと、早期診断・早期治療が行えないからです。 しかし、少しでも早く症状に気づいて治療に取り掛かることができれば、根治・長期生存が望める病気でもあります。どのような些細なことでも、気になった症状があれば早めに専門医を受診することをおすすめします。