ミストなのに肌に密着? ビオレUV「瞬感ミストUV」の日焼け止め革命
花王株式会社の「ビオレUV」は、日焼け止め市場売り上げNo.1ブランド[1]だ。日本の日焼け止め市場をリードし続ける存在として、これまでも数多くの画期的な商品を展開してきた。 その中でも、2022年に一部ドラッグストアで限定発売され、2023年に全国発売となった「アクアリッチ アクアプロテクトミスト」(以下、瞬感ミストUV)は、ノンガスミストタイプで軽い使用感ながら高い紫外線防御効果を発揮してくれると瞬く間に話題となり、全国発売初年度は累計670万本を出荷(本体とつけかえ用を合算)。発売されるやいなや、全国のドラッグストアから姿を消したのは記憶に新しい。 一体「瞬感ミストUV」はほかの日焼け止めと何が違うのだろうか? 今回は花王スキンケア研究所の福井さん、中谷さんに、「瞬感ミストUV」の開発のきっかけやこだわり、商品の魅力についてお話を伺った。
オケージョンからデイリーへ。毎日使える日焼け止めを目指して
ー御社の日焼け止め研究はいつごろからスタートしたのでしょうか? 福井崇(以下、福井): 日焼け止めの研究は1980年代にスタートしています。当時、日焼け止めは海やプールなどのレジャーで使うものという認識だったのですが、花王としては毎日のUVケアがとても重要だという考えがありました。 ビオレは洗顔や洗浄剤、ケア剤など生活に身近な商品を数多く出していたので、レジャーのときだけでなく毎日使ってもらえるような、軽い使い心地とUVの防御効果の両立にこだわって研究していったのが始まりです。 ーこれまで数多くの日焼け止めを発売されてきましたが、転機となった商品を教えてください。 福井: 日焼け止めのシーンを変えた製品として、大きく3つの転機があったと思っています。 1つめは1997年に発売した「さらさらUV」です。当時はSPFの上限がなかったため、SPFの高さを競うような空気があり、花王でもSPF75や100の日焼け止めがありました。 SPFが高いものはやはり日焼けを防ぐ成分の配合量が増えます。その成分は吸収剤や散乱剤と言われますが、吸収剤は油なのでベタついてしまいますし、散乱剤は粉なので白くなったりカサカサしたりするんですね。そうなると毎日使うには適さないような感触になってしまいます。 そこで、毎日使ってもらうために「日焼け止めなんだけどさらさらする」という新しい切り口で発売したのが「さらさらUV」です。 「さらさらUV」は容器を振って使う2層タイプなのですが、この商品をきっかけに2層タイプの日焼け止めが主流になっていったのかなと思います。 2つめの転機は2010年に発売した「アクアリッチシリーズ」です。2010年ごろまでは、「さらさらUV」のようなオイルベースで振るタイプのさらさらした日焼け止めが主流でした。 その中で、毎日ケアする美容液のような使い方ができる日焼け止めができないかと考えて発売したのが、ジェルタイプの「アクアリッチシリーズ」です。 「さらさらUV」は日焼け止めの利用シーンをオケージョンからデイリーへ変えて、「アクアリッチシリーズ」はデイリーの中でもさらに使い心地をよくして、スキンケアに近いようなものにできたのかなと思います。