ミストなのに肌に密着? ビオレUV「瞬感ミストUV」の日焼け止め革命
3つめの転機、「瞬感ミストUV」の誕生
福井: そして3つめの転機が2022年に一部ドラッグストアで限定発売した「瞬感ミストUV」です。日焼け止めは汗や擦れなどで流れたり使っているなかで効果が落ちてしまうので、塗り直しがすごく重要です。 「瞬感ミストUV」は、その手軽さから実際に塗り直しをしてもらえるようになったという点で、お客様の生活行動を変えたというか、使用場面を変えたというところが転機でした。 ー「瞬感ミストUV」の開発のきっかけを教えてください。 中谷有沙(以下、中谷): 私はもともと、日焼け止めの中でもエアゾール缶のスプレー製剤を担当していました。スプレーの日焼け止めって、お客様にとっては「簡便で手を汚さずに塗れるけれども、肌についている実感がない、塗れているか不安」というイメージがあり、実用的というよりはお守り的な日焼け止めという立ち位置であることが多いんです。 スプレーもSPF50やPA+++、PA++++という効果があるのに、どうしてもそういうイメージを持たれてしまうので、「一本でもしっかりと効果を発揮する」という安心感を持ってもらえる、均一な塗膜のような状態を作ることができる製剤を開発して、お客様の不安を解消したいと思ったのが最初のきっかけです。 エアゾールの課題を挙げていくと、むせる、使う場所を選ぶ必要がある、中身が見えない、ガスが嫌だ、捨てるのが大変、油っぽいイメージがある、飛行機への持ち込みができないなどがありました。ただこの課題をクリアするためには、エアゾールでは限界があると思いました。 日焼け止めを塗り直すためには持ち歩いてほしい。「じゃあいつでもどこでも何度でも使いたくなるようなUVミストを作ったらいいんじゃないの?」というのが最初の着想でしたね。
ー具体的にどのようにしてアイデアを形にしていったのでしょうか? 中谷: まず興味を持って手にとってもらうために、使ってみたいと思ってもらえる斬新な外観にすることと、気持ちよく使えて効果が高いということを両立したいと思いました。 外観は、エアゾール缶の場合は残量が見えないという不満があったので、お客様に「何これ、面白い」と思ってもらうために、中身の見える透明容器の日焼け止めスプレーというのを考えました。 また、日焼け止め全般には粉っぽいとか乾燥するといったイメージがあり、エアゾールの日焼け止めは付着感が低いとか油っぽいイメージがあったので、「日焼け止めなのに水っぽくて気持ち良い使用感だったらうれしくない?」というところから、アイデアを広げていきました。 さらに、「水っぽい使用感なのにしっかりと肌を守ってくれるってすごくない?」ということで、シュッとしたら液全体が均一に密着して塗膜を形成するという技術を詰めていきました。