なでしこGK初のビッグクラブ移籍が実現。山下杏也加が勝ち取ったマンCからのオファー「サイズは関係ないと証明できた」
日本人選手が4人に。トップクラスで通用する高い技術
――ゆくゆくは戦術的なコーチングもすることになりそうですが、語学の壁は乗り越えられそうですか? 山下:ゴール前の自分のコーチングで必要なキーパー用語や単語はオーストラリアのプレシーズンキャンプである程度教えてもらいました。ただ、自分の意図や要求を文章で伝え合うレベルまではいけていないので、これから頑張ります。 ――マンチェスター・シティは、今年の初めには18億円以上をかけて女子チーム専用のトレーニング施設を作る計画も明らかにしていましたが、クラブの女子サッカー熱も感じますか? 山下:そうですね。6月上旬にメディカルチェックに行ったんですが、クラブの規模の大きさに驚きました。クラブハウスに入るのにセキュリティがかなり厳しかったのが印象的だったのと、朝食や昼食をクラブハウスで食べることができて、どれも美味しかったです。こんな場所でサッカーができるのは恵まれているなと思いました。 ――今シーズンは清水梨紗選手と藤野あおば選手も加入して、日本人選手が4人になりました。全員がベレーザ出身という共通点もありますが、どんなところにその強みを感じますか? 山下:足元の技術はやっぱり全然違います。プレーの選択肢が多く、ギリギリで判断をキャンセルできるスキルとか、どこにでもパスを出せる場所に置ける技術は、ベレーザの選手はやっぱり上手いですし、世界のトップクラスでも通用する部分だと思います。 ――なでしこジャパンはフィールドプレーヤーの海外挑戦が増えてきた一方で、GKとしては初のビッグクラブへの移籍です。将来的に代表入りを目指すGKの選手たちに、ステップアップするためのアドバイスがあれば教えてください。 山下:170cmの自分がマンチェスター・シティに移籍したことで。「GKにサイズは関係ない」ということを証明できたと思います。今回オファーをもらえたのは去年のワールドカップでの結果が大きかったと思うので、まずはキャリアアップが可能な世界大会への出場を目指してほしいですね。自分自身は「ビッグクラブに行くために他のチームでステップアップしよう」とは考えていなかったのですが、そういうことまで考えてキャリアを積むことができれば、もっとステップアップしやすくなると思います。 <了>
インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]